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(2012/11/26)

【インタビュー】きゃりーぱみゅぱみゅでミュージック・ジャケット大賞受賞〜スティーブ・ナカムラ氏


Steve Nakamura(スティーブ・ナカムラ)
アートディレクター/グラフィックデザイナー。1973年ロサンゼルス生まれ。ロンドン芸術大学 セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒業。ラフォーレ グランバザール、パルコ、ナイキ、マセラティなどの広告のほか、きゃりーぱみゅぱみゅ、バンドじゃないもん!などのアーティストのビジュアルアートワークなどを手がける。



2012 年ミュージック・ジャケット大賞を受賞したきゃりーぱみゅぱみゅのデビュー作『もしもし原宿』

 きゃりーぱみゅぱみゅの1stアルバム『もしもし原宿』が2012年の「ミュージック・ジャケット大賞」を受賞。このアートワークを手がけたアートディレクターのスティーブ・ナカムラ氏は、ロンドンの芸術大学を卒業後、海外および日本で活躍。きゃりーぱみゅぱみゅのデビュー以降のビジュアルアートワークを手がけており、彼女のブレイクに大きな影響を与えた人物の一人だ。音楽シーンにおけるデザインワークには、ファッション界にはない、自由さがあるというナカムラ氏だが、今、エンタテインメント業界に必要なのは、そんな斬新なセンスによる他に類を見ないオリジナリティと、その表現を具現化させる強さかもしれない。(誌面より抜粋)


■複数の流行文化を見たことのない形でミックス

――きゃりーぱみゅぱみゅの『もしもし原宿』で「ミュージック・ジャケット大賞2012」の大賞を受賞されましたが、今年で2回目を迎えたこの賞のことはご存知でしたか。
ナカムラ 最終選考の50作品にノミネートされたことは知っていました。きゃりーぱみゅぱみゅは、音はもちろんですがビジュアルも大事なアーティストなので、受賞できたことはとても嬉しかったです。それに音楽の仕事はアーティストやプロデューサーの名前は表に出ますけど、ビジュアルを作るクリエイターの名前は出ない場合が多いので、この賞はクリエイターにとってもモチベーションに繋がりますね。ただ、彼女が1年くらいで、ゼロから人気を獲得していったのを見ていたので、そういう意味では受賞したことに驚きはしませんでした。アートワークだけではなく、彼女の個性や音なども含めて人気が出たわけですから、全ての要素を評価していただいた受賞だと思っています。

――きゃりーぱみゅぱみゅはアクセサリーやオブジェなど、小物の使い方も印象的なアーティストです。でも『もしもし原宿』のジャケットは彼女の顔のアップ写真を使ったストレートなビジュアルワークでした。
ナカムラ デビューアルバムだったので、まず彼女を知ってもらうために、表情やメイクで勝負しようと思いました。彼女のイメージには原宿、ファッションなどいろいろな要素がありますが、特に面白いのはキャラクターです。それをシンプルに表現するために、他の要素を削って、メイクやヘアスタイルでどうビジュアル的に見せていくか、というところから考えたんです。

――口が裂けたモンスターのようなメイクはインパクトがありました。
ナカムラ このビジュアルはCGの世界観ではないんですよ。“プロ・アマチュア”みたいな感じを出すために、わざとメイクも完璧には仕上げなかったし、写真もスナップっぽく撮ったんです。普通の人だとできないけれど、普通の人にもわかる発想。そのバランスが大切なんです。ただ、当時の彼女にあった“原宿っぽい服を着た路上スナップ写真”というイメージをもっと広げて、大きな表現をしたかった。だからいろんな要素をミックスしましたね。

――原宿好きの女の子以外の人にも面白さを伝えるために何をミックスしたのですか。
ナカムラ 彼女の可愛らしさ、グロテスクさ、ファンタジーな格好、シリアスな表情、原宿じゃない場所、写真の撮り方とか。いつもの彼女とは違うアイデアもミックスすることで、様々なイメージで受け取れるようになります。つまり複数の流行っている文化を、見たことのないような形でミックスすることで、どこにもカテゴライズされないオリジナルのキャラクター感を作れるんです。見たことのないものを混ぜてしまうと、誰にも伝わらないものになってしまいますが。

――異なる要素がぶつかった時の効果が、新しいオリジナル感を引き出すことに繋がるということですね。
ナカムラ そうです。例えば着たことのない服を着て、行ったことのない場所に置かれると自然に不思議な表情が出るといった感じに近いです。だから僕は絵コンテの通りには作りません。わざとゆるいセッティングをして、様々な要素を現場でミックスしながら、みんなのアドリブ感を大切にした方が良い表情や効果が出るからです。絵コンテを元に指定しすぎると、大抵良いものが出てきませんよね。


■きゃりーぱみゅぱみゅはカテゴリーにおさまりきれない存在

――自然なリアクションを導き出すために、敢えて作り込みはしないと。
ナカムラ 自由に遊べて動ける空間を作った方がいい。アドリブや手作り感を重視して、新しいキャラクターを作り上げていく感覚です。日本のアーティストはすぐに特定のカテゴリーに入れてしまう場合が多いけれど、それだと駄目なんです。すぐに消えてしまいますからね。

――様々なジャンルに足をかけながらその間にいて、いろんなお気に入りを見つけては自分のスタイルに取り込むのを楽しんでいるスタンスが、彼女からは伝わってきます。ジャンルにくみしない自己がありますよね。
ナカムラ きゃりーぱみゅぱみゅはあちこちのカテゴリーにちょっとずつ属してはいるけれど、ファッションモデルだけでもないし、アーティストだけでもない。カテゴリーに収まりきれない存在です。アートディレクターとして広告の世界も見てきましたが、彼女が広告においても重宝されている理由は、やっぱりビジュアルやスタイルや雰囲気がオリジナルで、若者達にとって目立って見えるからなんです。パロディでは駄目。僕の仕事はリスクを取ってでも、アーティストのイメージを活かしながら、さらにオリジナルなビジュアルで表現すること。いろんなものをミックスしてできた面白い表現こそが、最終的なフィーリングになるんです。
 最近は彼女に合う形や色がよりわかってきたので、その変化は『もしもし原宿』以降のアートワークにも表れています。色と形はムードを形作る要素ですからね。(オリジナル コンフィデンス11/26号よりインタビューを抜粋)


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