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(2012/07/02)

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ももクロとのコラボでさらに飛躍〜ビジュアルアーティスト「ハナブサノブユキ」


ビジュアルアーティストのハナブサノブユキ氏
1976年2月24日生まれ、三重県出身。学生時に自動車デザインを学び、97年にCGプロダクションに入社。その後退職し、フリーランスとなる。その後は、ファッションブランド「SOMARTA」のショーに使用する映像や、NHKバラエティ番組『笑・神・降・臨』のOP 映像、ももいろクローバーZのライブ映像など、幅広いジャンルで活躍する。ダンスと映像のユニット「KAGEMU」は活動を終了し、現在は「enra」を立ち上げており、ライブパフォーマンスの新たな可能性を模索している。

 ダンスと映像が見事にシンクロした映像パフォーマンスのイノベーターとして、海外でも話題となったハナブサノブユキ氏。ダンサーのサカクラカツミ氏とのパフォーマンス・ユニット「KAGEMU」は、日本のテレビ番組でも紹介され大きな反響を呼んだが、斬新な映像表現のアイデアはそこに留まらない。既存の表現手法を覆すアーティスティックな感性と、「観る者の心と体を動かしたい」というエンタテインメント精神をバランスよく持ち合わせた新進ビジュアルアーティスト。ももいろクローバーZとのコラボレーションを皮切りに、音楽業界での活躍も期待される。

 観客の体と心を躍らせたVJ(ビデオジョッキー)としての活動が、映像制作の原点だったと語るハナブサ氏。「肩書きを聞かれると困るんですよね(苦笑)。映像を軸にしてはいますが、静止画や動画を問わず、ビジュアルとして見せられるものは何でも作りたいんです」と心境を語る。

 映像と肉体表現を融合させたダンサーのサカクラカツミ氏とのコラボレーション・ユニット「KAGEMU」は、国内外でさまざまな反響と波紋を呼んだ。人間の動きがシンクロした映像は面白いんじゃないかという発想で、もともとは遊びで結成したユニットだった。試しにイベントでパフォーマンスをしたところ評判が良く、日本テレビの『世界1のSHOWタイム〜ギャラを決めるのはアナタ!〜』にも出演した。

 そして、YouTubeにアップした映像がきっかけで、その評判は海外にも飛び火した。ただ、いろんな意味で騒動にもなってしまった。

「順を追って説明すると、まずイタリアのロレッラ・クッカリーニという現地では有名らしい女性歌手の方が、KAGEMUのアップしていた映像とほぼ同じ音や振付け、映像の作品を発表したんです。ただ、その時点では僕らはまったく気づいていませんでした。ところがその後、2011年の『ビルボード・ミュージック・アワード』でビヨンセが、映像とダンスを融合したパフォーマンスで大絶賛されたんです。その時は「似たようなことを考える人もいるんだな」としか思わなかったのですが、それから少しして海外のTwitterなどで「ビヨンセがロレッラをパクッた」と、大騒ぎになったんです」。

 このネットで騒ぎについて、実際に海外のメディアからもこの件についてインタビューされたこともあった。

「ビヨンセ側には「僕らもこういうパフォーマンスをやっています」という文書を出しました。けれど、イタリアの音楽業界の規模はとても小さいらしく、かなり探したのですがロレッラの窓口は突き止められなかったんですよ。結局、この問題はうやむやのまま終わってしまいました」。

 ダンスや映像といった表現の権利はどこまで守られるのか、という難しい問題に突き当たったと振り返るハナブサ氏。ビヨンセのケースは、手法は同じでも表現はまったく違ったため、盗作だとは思っていないと話す。ただ、もしもビヨンセがロレッラより先にKAGEMUを知っていたら、ハナブサ氏に演出のオファーがあったかもしれない。「そう考えると、それはそれで悔しい気もします」。

 日本では、ももいろクローバーZ(ももクロ)のアリーナ公演のオープニング映像と演出に2年連続で携わって、関係者の間でも注目度が高まる。ももクロの総合演出をしている佐々木敦規氏が、KAGEMUを見て声をかけたのがきっかけだった。

「昨年のさいたまスーパーアリーナでは、彼女たちのダンスとCGのモンスターがリンクする演出。振付師の石川ゆみ先生に協力していただいて、後ろの客席からでも映像とのリンクがわかるダンスをつけてもらいました」。

 KAGEMUと同じような演出である。しかし、彼女たちは忙しく、映像とリンクしたリハーサルは当日しかできなかったという。それでも映像のない中で、一生懸命動きを練習して当日を迎えた。

 「実際に映像と合わせてみたら見事にピッタリで驚きました」と彼女たちのダンスパフォーマーとしての実力を評価するハナブサ氏。パフォーマーにとって、映像に合わせて動くことはどれだけ難しいことなのか。

「それはもう大変です。ほんの少しでも位置や動きが映像とズレてしまったら、そこで失敗ですから。しかもパフォーマー自身は映像が見えていないので、成功しているかどうかもわからない。技術的にも精神的にも大変なプレッシャーだと思います」。

 ところで、こういった前例のないような発想はどこから生まれるのか。

「僕はどこかあまのじゃくなところがあって、既存の発想の逆のことをしたくなるんです。最近はゲームなどでも映像が人の動きに合わせる、インタラクティブな映像が主流ですが、逆に人間が映像に合わせるのもアリなんじゃないかと考えました」。

 ももクロの今年の横浜アリーナ公演では、円形ステージを囲むようにスクリーンを巡らそうと思ったという。でもそれだけでは面白くないと、スクリーン自体をパフォーマンスにしようと、33人のダンサーが白い旗を振ってステージをぐるぐる回る演出を考えた。照明が消えると、その旗がスクリーンとなる。

「最初はお客さんも、ただのフラッグ・パフォーマンスだと思いますよね。そこに照明が消えてパッと映像が映し出される。お客さんもビックリするぞと。僕の役割はオープニングの熱狂をももクロさんたちの登場に繋げることだったので、とにかくどうやってお客さんを驚かすかを集中して考えました」。

 ハナブサ氏のアイデア溢れる演出や表現は、エンタテインメント業界からもますます注目される。フットワークを軽くしたいという思いで、フリーランスの道を選び、いろんなジャンルの人たちと仕事をしていきたいという。

「アーティスト、パフォーマー、ファッション……いろんな方々とコラボレーションしてみたいです。音楽もジャンルを問わず好きなので、ミュージックビデオもいつか作ってみたいですね。それも1曲まるごと携わることができたら、とても楽しいだろうなと思っています」。


ハナブサノブユキ氏の手がけたパフォーマンス

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