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(2012/09/3)

「Yahoo! JAPANはスマホ時代になっても、人々の課題解決エンジンであり続ける」


ヤフー株式会社 代表取締役社長 宮坂学氏
1967年山口県生まれ。同志社大学卒業後、91年、潟ー・ピー・ユーに入社。97年、ヤフー鰍ノ入社し、ニュース、スポーツ、ファイナンス、映像等のサービス領域でプロデューサーをつとめる。02年、メディア事業部長に就任。執行役員コンシューマ事業統括本部長(09年就任)、最高経営責任者(CEO)執行役員(12年4月就任)を経て、12年6月、代表取締役社長CEOに就任。

 スマートフォン時代への転換を図るため、ヤフーでは今年、役員体制を刷新。平均年齢で10歳以上若返ったとされる中、社長に就任した宮坂学氏は、「爆速」をキーワードとし、三つの戦略を掲げて、新生Yahoo! JAPAN への転換を進めている。

――「スマホファースト」というコンセプトを掲げ、スマートフォン時代への対応を急ピッチで進めていますね。
宮坂 Yahoo! JAPAN のパソコンでの利用者数は、現在、約5000万人ですが、これらの方々もだいたいはスマートフォンを使うようになるでしょう。そして、端末が変わっても、人々のニーズというのは変わりません。スクリーンに映写機からの光を投影するしかなかった時代から、テレビの時代やVHS、DVD の時代になっても、感動できる映像を観たいというニーズ自体は変わらなかったわけです。ただ、使い方は変わる。だから、地味ではありますが、まずは、今、パソコンで我々が提供できていることを、きちんとスマホでも提供できるようにしていくことが非常に重要だと考えています。

―― Yahoo! JAPAN はPCポータルの代名詞となっていますが、スマホでも、まずは同様な立ち位置を確立するというイメージですか。
宮坂 やはりPCインターネットにおけるYahoo! JAPANトップと同じように、人々にとっての、スマートフォンインターネットにおける入り口にあたるサービスに、まずは力を入れたいと思います。スマホの場合、ポータルは要らないのではないかという意見もありますが、データを見る限り、当社サイトへのアクセスは増え続けていますから、やはりニーズはあるんだなと考えています。それと、我々がやりたいことは、人々や社会にとっての「課題解決エンジン」になることで、それが会社としてのミッションなんですよ。生活していれば、いろんな課題が生まれ、不便なことも多々あるじゃないですか。その中には、インターネットを使えば解決できることもありますよね。我々がやりたいのはそれで、これまではPCでそれをやってきたわけですが、これからはみなさんがスマホを持つことで、解決できるソリューションの幅も、もっと広がると思っているんです。パソコンよりも使っている時間が長いですし。そのための手段の一つがポータルであるという位置づけです。

―― アスクルやカルチュア・コンビニエンス・クラブなどとの大型提携が続いていますね。
宮坂 これも課題解決エンジンの話になってしまうんですが、自分たちだけで解決できない課題でも、異業種の方々と一緒にやることで解決策を見出せる場合もあると思うんですね。対外的には、最近、「異業種最強タッグ」という打ち出しをしているんですが、これも敢えてラベリングして明快に意思表示しようと宣言してみたということで、課題解決のための選択肢に、他の企業との提携があるということ自体は以前から変わらない方針です。お話したように、人々や社会にとっての課題を情報技術で解決するというのが、我々にとっての根っこの部分で、その課題解決の対価としてお客様からのアクセスがあり、それが結果的に営業利益になる。我々はそれを信じてやっているんですよ。それを大前提とした上で、具体的にサービスを成長させていくための三つの軸を考えていて、一つは「オンリーワンポータル」という概念、二つ目はお話した「異業種最強タッグ」、三つ目が「未踏領域への挑戦」というものです。このうちの「オンリーワンポータル」にしても「未踏領域への挑戦」についても、パートナーシップを組んで進めた方が良いケースも多々あり、たまたまそれが最近多いということはあると思います。


■「圧倒的なナンバーワン」=「オンリーワン」サービスの集合体に
―― 個々のサービスについて、単なるナンバーワンではなく、「圧倒的なナンバーワン」=「オンリーワン」にするという戦略に伴い、これまで約150 あったサービスを20 に絞り込むということですね。
宮坂 そういう報道をされることも多いんですが、20 以外のサービスをやめてしまうということではないんです。当社の「人」、「物」、「金」というリソースを20のコアサービスにフォーカスさせるということなんですよ。たしかにやめてしまうサービスもないわけではないんですが、全部をオンリーワンなサービスにするのは無理ですから、まずは20にフォーカスし、これから漏れてしまったサービスについては、他のオンリーワン企業と組むことで、Yahoo!JAPAN をオンリーワンサービスの集合体、つまりオンリーワンポータルにしようということなんです。

――Yahoo! デイズを昨年クローズしましたし、特に最近はサイト内でのFacebook やTwitterとの細かい連携も目につきますが、ソーシャルサービスについては、どのようにお考えですか。
宮坂 ソーシャルサービスについては、自前で行うことについて諦めるつもりはなくて、今後も引き続き、チャンスを模索していこうと思っています。LINEの成功を見ても、チャレンジすることはやっぱり大事だなと改めて思いましたし。ただ、自前でできるまで何もやらないかというと、それも間違いで、今は、他社が持っているソーシャルグラフのパワーをヤフーのポータルとミックスさせることで、ユーザーにより良いサービスを提供しようと舵を切ったところです。

――Yahoo! MUSIC も8月にクローズしましたが。
宮坂 音楽に関するサービスについては、今後も新しいかたちで続けたいとは思っています。10 年前には、新譜の情報などをテキストベースで読むというニーズも、たしかにまだあったと思うんですが、今は音楽に関することについても、GyaO!の方で、より楽しんでいただいているようです。だから、音楽については、活字よりも、直接耳を刺激するサービスであった方がいいだろうなとは思います。

――「爆速」というキーワードを掲げ、意思決定を速くするために、開発チームについても、いくつもの小さなチームに分けているということですね。
宮坂 課題解決を、これまでの2倍行えるようにすると何が起きるかというと、これまでの2倍使えるサービスになるので、アクセスもそれだけ増え、営業利益もそれだけ上がるだろうという発想です。今はDUB(Daily Unique Browser)という指標を重視しているんですが、DUBを2倍にするには、今の10倍くらい挑戦し、5倍くらい失敗して、2倍くらい成功させるというのが妥当な線だろうと考えたんですよ。10倍くらい挑戦するには、もうとにかく「爆速」的にやらないと無理だなと話していたところから、その言葉を使いはじめたんですが、社内でも、もうずい分浸透したようです。


■舞台作りが自分の一番重要な仕事
――10倍の挑戦を行うため、無数にある小さな開発チームが多くのトライを重ねているわけですね。
宮坂 そうですね。僕自身は、開発については特に邪魔をしないことが大事だと思っているんですよ(笑)。いろんなアイデアが、日々、社内から上がってくるわけですが、僕のところでいちいち決済していたら、それこそ「爆速」とは程遠い世界になってしまうので、開発前とか開発途中のサービスに触れることはまずありません。一ユーザーとしてYahoo!JAPAN のサービスを使い、気付いたことがあれば、メッセンジャーなどでダイレクトに意見を飛ばすこともありますが、それもリリース後のサービスについてです。映画や音楽の世界もそうなんじゃないかと思いますが、アーティストが作る1曲1曲について、レコード会社の社長がいちいち意見を言っていたら、うまくいきませんよね。僕の場合は、それらを考えるスタッフが活き活きと仕事ができる土壌を作ることが大事だと思っています。

―― Yahoo! JAPAN の場合、エンジニアなど、開発チームの一人ひとりが作品を作るアーティストということになりますか。
宮坂 比喩ではなく、エンジニアやデザイナーは完全にクリエイターです。だから、うちの開発チームというのは、それらクリエイターが作ったバンドみたいなもので、そんなバンドが無数にあるというイメージで見ていただいた方がいいと思います。そんなクリエイターたちが、よりモチベイティブにものづくりができる環境を作るのが、僕の重要な仕事だと思っているんですよ。「舞台作りの方は自分がやる」とよく言っているんです。その舞台で踊るのがクリエイターで、僕は、「あの舞台で踊りたい」と思われるものを作らなければならない。そして、その上でどう踊るべきかを考えるのは村上(臣)CMO(Chief Mobile Officer)であり、川邊(健太郎)COO で、彼らは言わば振付師です。それと、開発に限らず、ヤフーにいる人たちには、会社という、お金も信用力もある大きな器を利用するからこそできる、大きな課題解決を行い、仕事を通じての自己表現をしてほしいと思っているんです。誰かの課題を解決できるなんて、こんなに楽しいことはないし、それで感謝されたり、儲かったりもする。こんなに良い仕事はないと思っているんですよ。だから、ヤフーの社員には、自分が持っている力を、ぜひ誰かの課題解決に役立ててほしいし、それをヤフーという会社がレバレッジするというかたちは、すごくいいなと思います。だからこそ、この会社を、それがもっとやりやすい器にしたいと思っているんです。

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