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(2012/08/20)

TALK ABOUT HITSのコーナーをまとめた特別増刊号は12年9月26日発売
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「語り部」として時代を切り取るクリエイター ファンタジスタ歌磨呂氏


1979年生まれ。自らが描いた絵が人を大いに喜ばせるという「絵のパワー」に幼稚園年長時に開眼。多摩美術大学・テキスタイル科を卒業。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。以降はイラストレーター、デザイナー、映像クリエイターなど多彩な活動を展開。この夏、「株式会社コトブキサン」 を設立、活動の一層の充実をはかる。

 初音ミク、SEKAI NO OWARI、ゆず、MEG、東京カランコロン等のCDジャケットやアートワークなどを手がけ、独特のポップでみずみずしい感性を披露している注目のクリエイター、ファンタジスタ歌磨呂氏。イラストレーター、デザイナー、映像クリエイターなど多彩な活動を展開。創造力を自由闊達にほとばしらせながらも、その一方でアーティストと作品、そして時代を切り取る「記録者」であろうと努める。オリジナル コンフィデンスでは、そんな新進気鋭のクリエイターの一人、ファンタジスタ歌磨呂氏のインタビューを行った。(誌面より抜粋)

――イラストレーターの顔を持つだけあって、マンガ的表現などを取り入れたジャケットを制作されることも多いですが、ゆずの最新シングル「また明日」は、これまでのものとはかなりテイストが異なりますね。

歌磨呂 そうですね、ゆずさんとはこれまで“ゆずマン”や“ゆず一家”のリニューアルや、“ゆずカモ”と呼んでいる迷彩柄を作ったりして、僕はいちアーティストとしてアートワークに関わってきたんですけど、「また明日」では初めてアートディレクションから携わらせてもらいました。

このシングル曲は、ゆずの原点回帰的なイメージがあったので、少しノスタルジックな趣きにしたいと思い、「また明日」というタイトルと合わせて、過去と未来の表裏一体というような幻想的なビジュアルを目指したんです。リニューアル前の横浜マリンタワーや京浜工業地帯の風景をモノクロ写真で見せて、そこに着彩した透明フィルムを重ねてどこか懐かしさを感じるように心がけました。優しい中に何かピリっとした刺激が含まれている、「今の時代にアップデートしたノスタルジー」みたいなものを表現したつもりなんです。

―― そういうイメージは、どんな過程を経て固めていくのですか?
歌磨呂 とにかく打ち合せで情報収集をします。可能な限りアーティストに寄り添うことが大事だと思っているので、そこは手堅く。そして、いろいろ得た中から、何か心に少しでも“刺さる”ものを大切にしていく感じかな。でき上がった作品や僕自身の人間性を好きになってくれるといいなと思って仕事に取り組んでいるだけなので、あんまりこれじゃなきゃやらない! というエゴみたいなものは出さないようにしています。好き勝手をやっているように見られがちなんですけどね(笑)。

僕自身は、個性的な方だとは思いますが、決してアーティストではなく、あくまでアートディレクション――交通整理をする役だと思っています。最近特に「書記」とか「語り部」だという意識が強くて。

――“語り部”ですか。
歌磨呂 2012 年の今、ここにこういうアーティストがいて、こういう曲があったよということを、僕というデバイスを通して記録に残す作業をしている感じですかね。だから、僕という要素や個性は、山椒とかのスパイス程度でいいと思うんです。それも特に「こんなスパイスを入れました」と主張しなくても、自然と味に表れるだろうと思っているし。

 人間が作り出す作品はどれも自然物だな、って思えるんです。時や、その人の生まれ育ってきた環境、そのときの人間関係とか、あらゆるものが関係して何かができ上がっている。それを記録する係が僕。そういう役に徹しようという心構えができたら、迷いがなくなりました。表現すべきものの全体像がストレートに見渡せるようになるというか。“今”を切り取るということに関してはとにかく真剣にやっていますから、そこをみなさんは評価してくれているんじゃないかな、と。

■初音ミクのプロジェクトがきっかけだった

―― 語り部という境地に達した背景には何かあったのでしょうか?
歌磨呂 ありました、これは明確に。Google Chrome のCM に初音ミクの「Tell Your World」が起用されて、僕がジャケットやミュージックビデオのディレクションを頼まれたときですね。だって、めちゃめちゃ感動したんですよ。「Google Chrome のグローバルキャンペーンのキャラクターがレディー・ガガ、ジャスティン・ビーバーからの初音ミク!? すげー!」って。まさにトピック。実際、初音ミクは十年後にはもう、過去の産物にはなってしまうと思うんですよ。でも、インターネットの魔法みたいな部分――関わった人全員で物事を自然発火のように進化させていく面白さや、ゴールが事前に決められていないからこそ、アイデアが無限に増殖するすごさ――これらを世の中に記録として残さなきゃダメだと思ったんです。そういう意味で「俺は書記」だ、なんて光栄な書記役だと感動しまくっていました。

 それまでは、デザインの意味がきちんと見定められませんでした。消費されていくことに対して、否定的な目で見てしまい、悩んでいたときもあった。音楽や映画やアートは後の時代まで作品として残っていくけど、デザイン自体は一過性だし、消費されて塗り替えられていくことがむなしい……とか。そんなときに初音ミクの仕事で、時代を切り取って記録する「書記」であり「語り部」的な役割に気付いたんです。変なこだわりや雑念が一気に消え去りました。(オリジナル コンフィデンスより抜粋)




TALK ABOUT HITSのコーナーをまとめた特別増刊号は9月末発売
クリエイターファイルVol.1〜伝える力、伝わる感性〜



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