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(2012/06/11)

『SPEC』に見る劇場ヒットの新傾向〜コア層を繋ぎとめたSNS&イベント戦略


DVDとブルーレイで発売された『「SPEC 〜翔〜」警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 ディレクターズカット版』

 国内映画興行では興行収入40億円を突破した『テルマエ・ロマエ』を筆頭に、『宇宙兄弟』『貞子3D』など邦画の好調が目立つ。こうした現在の好調の先陣を切ったのが『劇場版 SPEC〜天〜』だ。TVドラマ放送時にはプロデューサーから敗北宣言が飛び出すなど話題となった同作がいかにして劇場での動員を獲得したのか。ヒットの背景を探った。

 『僕等がいた』(前後編)、『テルマエ・ロマエ』、『宇宙兄弟』、『貞子3D』等、春休みからゴールデンウィーク前後の国内の映画興行シーンでは邦画作品の活躍が目立った。こうした邦画好調の先陣を切るかたちとなったのが『劇場版 SPEC 〜天〜』だ。『SPEC』は10年10月に堤幸彦監督、戸田恵梨香、加瀬亮主演によってTVドラマがスタート。堤監督と、プロデューサー植田博樹氏はヒットドラマ『ケイゾク』以来のコンビでもあり、企画発表段階からコアファンを中心に話題を集めた。

 しかし、視聴率は思うようには伸びず、10%前後を推移。12月にはTwitter上で、植田氏が「視聴率、ダメでした。関係者の皆様、大変申し訳ありませんでした」とツイートし、それがネット上のニュースサイトで大きく取り上げられる、という結果も招いた。

 ただし、そうした敗北宣言とは裏腹に同作はその後、1話300円で配信されたVODの好セールス等も後押しし、SPドラマ、劇場公開と、ヒット作の王道ともいえる路線を歩むこととなる。TVドラマ終了から約1年半後の12年4月1日にSPドラマを放送。さらにその3日後には同SPドラマのパッケージも発売。4月7日には劇場版が全国公開された。なお、SPドラマのパッケージ発売告知と予約受付はTV放送前に開始しており、まさに異例づくしの展開で、劇場公開前1週間に、ほぼすべてのリリースを集中させた。

 劇場版は4月25日には興収15億円を超え、観客動員117万人(ともに4月7日〜24日)を記録するヒットとなった。では、TVドラマから、公開直前のSPドラマと、視聴率が伸び悩んだにもかかわらず、劇場ヒットを生んだ要因はどこにあったのか? SPドラマのパッケージ発売も含め、4月1日〜7日にリリースやプロモーションを徹底的に集中させたことが奏功したことは言うまでもないが、それに加えて、ヒットの裏にはいくつかのカギが潜んでいる。そのひとつめが「Twitter」だ。


■制作者の生の声を伝えファンの熱量を起こす
 同作はTVドラマ放送時から、作品の「リアルタイム解説」を実施するなどTwitterを積極的に活用していた。そこにはリアルタイム性という利点が、あくまでも“リアルタイム視聴”にこだわる植田氏の思いとも合致していたからという。

「私自身も『SPEC』の宣伝を通じて初めてTwitterを使ったのですが、どんな情報が良いのか吟味していると内容が業務連絡のようになっていました。そこで、それこそ「お腹が痛い」なんてことまで書くことにしました。一見、視聴者にとっては、関係ない情報かもしれませんが、監督や脚本家など制作側の当事者(中心人物)が呟くことで、そこには“今、脚本を書いていて、かなり行き詰まっている”という濃い情報が実は提供されているのです」(植田氏/以下同)

 連続ドラマ終了後から1年半もタームは空いたものの、植田氏を中心に公式アカウントから情報を発信。11年3月のTVドラマ版のパッケージ発売のタイミングや、劇場版の制作発表、撮影中・編集中の作業風景など、継続していくつも話題を提供し、コアファンの熱量を維持させた。

 また、劇場公開前に放送されたSPドラマは、連続ドラマの最終話から1年後を描き、ドラマで残されたラストシーンの謎などを解き明かす内容となっており、単なるスピンオフ作品ではなく、タイトルの示すとおり、シリーズの“起承転結”を担う重要な作品となった。その結果が、連続ドラマの平均視聴率とほぼ同数となったSPドラマの視聴率、10.7%と見ることもできるだろう。

「正直、数字は納得していませんが、深夜アニメや特撮もののように、たとえ視聴率5%であっても、パッケージを数万本単位で売り上げる作品もあります。もしかしたら『SPEC』はそれに近い作品なのかもしれませんね。ただ、アニメ関連の方なら何か掴んでいらっしゃるのかも知れませんが、商品やグッズが売れる“視聴率5%”の秘訣など、僕や堤監督にはまるで分かりませんので、とにかく、無駄な努力であっても、新しいもの、面白いものを積み上げていくしかないと思っています」


◆ドラマ・映画『SPEC 〜』リリース&PRスケジュール一覧
ドラマ・映画『SPEC 〜』リリース&プロモーションスケジュール



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