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(2010/07/22)

進化する駅ナカ書店 機能重視から楽しめる場所づくりへ

 文庫『永遠の0』が前週15位(7/12付)から8位(7/19付)にランクアップした。09年7月に発行した同書は、今年5月に入ってTOP100内に再ランクインして以降、コンスタントに売上を伸ばし、すでに累積16.6万部を売り上げている。きっかけは同じ著者の青春小説『ボックス!』の映画化効果もあるが、書店の応援も大きい。その中のひとつ、「駅ナカ」での販売促進展開の効果にフォーカスする。

 週間売上部数を見ると、6月28日付は1.1万部、その翌週は1.2万部、翌々週は1.3万部。この時期は、駅の構内の書店で展開する「駅ナカフェア」で紹介された時期と重なる。

 今、駅ナカには多種多様な業態がテナントインしている。なかでもJR東日本グループが運営する商業施設『ecute(エキュート)』は、スタイリッシュなデザインでまるでデパートのよう。駅ナカに“楽しみ”を取り入れた空間づくりがコンセプトだとしており、大宮駅、品川駅、立川駅、日暮里駅、東京駅で展開する。そしてテナントインしている書店もそのコンセプトに基づき、ユニークな売り方で客の心をつかんでいる。日暮里駅の『リブロecute日暮里』店長の伊藤晃氏に話を聞いた。

 「駅ナカの店舗はスペースが狭いため、本の設置に限界があります。1日に何百冊もの本が届きますが、当店では全て置くことはできません。ですからスタッフが一冊ずつ本をセレクトしています。これは一般の店舗ではあまり行っていません」

 “売れそうな本”はもちろん設置する。一方で、“売りたい本”もある。日暮里の客層や土地柄を考慮してそれを売るための品揃えや設置方法に工夫を施すという。いわば「本のセレクトショップ」のような役割を果たしており、これが『ecute』のコンセプトと合致して、書店が楽しくなるというわけだ。

 『ecute』東京には、かつてない書店が誕生した。今年3月にオープンしたブックカフェ『HINT INDEX BOOK』に併設したスペース『クリエーターズライブラリー』だ。文学、音楽、伝統芸能、料理など日本を代表するクリエーターを紹介するスペースで、約2ヶ月でクリエーターを入れ替える。たとえば7〜9月は、作家の白石一文、書道家の中塚翠涛、『AERA』編集長の尾木和晴、漫画家のよしながふみなどを紹介している。流行に敏感な人はピンとくるラインアップだ。

 ふらりと書店に訪れた人が興味を持つような空間づくりで文化を発信する試みは、世界の窓口である東京駅らしい発想だ。進化を遂げる駅ナカ。それに合わせて書店も機能的な役割を果たしつつ、「いるだけでも楽しめる」店作りを展開する。書店の新しい試みはまだまだ続きそうだ。

『永遠の0』
駅ナカで好調な売上を見せた
『永遠の0』
百田尚樹・著
920円(税込)
講談社・刊

『クリエーターズライブラリー』
東京駅構内にある『ecute』東京の『クリエーターズライブラリー』。
アートな空間で日本の文化を紹介する。

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