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(2009/04/22)

『最後のパレード』が新たな宣伝手法でヒット
店頭で、ネットで、PVがPRに大活躍

 ディズニーランドで実際起きた感動のエピソード33編を綴った『最後のパレード』がヒット中だ。その背景には、出版業界ではまだ珍しいPVによるPR戦略があった。その効果のほどを探る。

書店で思わず立ち止まる音と映像によるPRの効果

 ディズニーランドを訪れる「ゲスト」と、そこで働く「キャスト」のふれあいのエピソードを紹介した『最後のパレードディズニーランドで本当にあった心温まる話』が売れている。3/2付BOOKランキングに38位で初登場して以来、好調に売上を伸ばし、4/6付では2位にランクアップした(表参照)。

売上推移

 著者は東京ディズニーランドの開業に携わり、以来約15年間、スーパーバイザーとして幅広い業務に従事してきた中村克氏。 発行に至ったきっかけは、版元であるサンクチュアリ・パブリッシングの営業担当者が、氏のブログに記されたディズニーランドでのゲストとキャストとの忘れられないエピソードのひとつを読み、単行本化を提案したことだった。  ブログに掲載されていた物語に加え、著者の中村氏が遭遇したディズニーランドで実際にあった感動の出来事33編を綴ったこの本は、「読んだ人の96%が泣いた」というコピーや、「絶対に泣いてしまうので、 立ち読みしないで下さい」という書店員のコメントとともに新聞広告等で紹介され、 人々の興味を惹いていったのだが、この本のヒットを語るうえで、特徴的なのは、PVの活用とその効力だ。

 「感動ものの本というのは、ポップやポスターではその良さが伝えにくい。その点、PVは映像や音を使うことで、本の感動的な雰囲気を効果的に伝えられます。書店の方の勧めもあって制作し、300強の本数を作って全国の協力いただける書店さんにお配りし、店内で流してもらいました」(サンクチュアリ・パブリッシング営業・北原広康氏)

 実際、入荷当初からこのPVを流した三省堂神保町本店の神原氏は言う。

 「今回のPVではオルゴールの音楽が流れるのですが、それを耳にして足を止めるお客様が多かったですね。特に女性のお客様に効果的でした。ポップやポスターよりもPVは大きなアピールになったと思います」

 「まだPVを作る出版社さんは決して多くないし、増えているという現状もない」(神原氏)という中で、サンクチュアリ・ パブリッシングはPVによるPRを成功させたわけだが、実は同社には、約5年前から単行本のPRをPVを使って行ってきた実績があった。少年少女の非行や薬物依存症問題に尽力する水谷修氏の著書『夜回り先生』がその第1弾だ。 「『夜回り先生』の場合は、テレビのニュ ース等で取材を受けて、お顔や活動が知られていましたので、先生の姿を映像で 流すほうがわかりやすいだろうと考えたのです」(北原氏)

久々に本を買ったという人を増やしたネット戦略

 同社がPV制作に乗り出した背景には、「普段、手にとらない人たちにも本に親しんでもらいたい」という企業指針がある。同社の本には写真やイラストを効果的に盛り込み、活字は大きめにし、普段本を読まない人たちも手にとりやすい仕掛けを施したものも多いがPVも意味は同じ。書店でPVを流せば、ファッション誌やコミックをチェックしにきた人たちにアピールする大きな力となる。普段、単行本を手にとらない人の目を惹きつけるツールになるというわけだ。さらに、PVの効果は書店内だけに留まらない。ネットを利用することで、書店に出向かない人たちにも効果も発揮した。

 「『YouTube』や自社のHP等にPVをアップしたところ、ディズニーファンの方々をはじめ反響が大きく、見た人たちから本を買って読んだというコメントを多数いただきました」(サンクチュアリ・パブリッシング広報・岩田梨恵子氏)

 中には「久しぶりに本を買いました」というコメントも多く、狙いは当たった。ネット内 の口コミで広がり、ヒットにつながるというパターンはよく見られるが、PVが加われば、内容はなお一層伝わりやすく、アピール度は高くなるのは言うまでもない。活字離れが激しいと言われ、出版業界が苦戦する中、涙できる感動ものの本は相変わらず強く、健闘をみせている。そんな中での『最後のパレード』のヒットは、PVの活用により、普段本は読まないけれど、涙できる感動作を求める人数をも取り込んだ 成功例といえるだろう。

(取材・文/河上いつ子)

 『最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話』
 中村克・著
 1260円(税込)
 サンクチュアリ・パブリッシング・刊
 http://www.sanctuarybooks.jp/parade/

(ORICON BiZ4月20日号より抜粋)

 ※同記事は『最後のパレード』の宣伝手法にフォーカスしたものであるため、問題なしと判断し掲載いたしました。

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