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(2010/04/23)

洋画好調の陰に宣伝手法の変化あり!

 邦画の好調が際立った昨年上半期から一転、今年上半期の興行シーンは洋画が大きな存在感を示している。各作品がヒットに値する力を備えているのはもちろんだが、そのポテンシャルを最大限に引き出し、「洋画離れ」世代である若年層の足を劇場へ運ばせている巧みなプロモーションが、洋画好調の原動力となっているようだ。

 『アバター』の世界的なメガヒットとロングランが牽引するかたちで、今年は現在までのところ、洋画主導で興行が推移している印象を受ける。

 実際、1月からの興行ランキングを振り返ってみても、『アバター』独走の後を追ったのは『カールじいさんの空飛ぶ家』や『オーシャンズ』といった洋画。『アバター』以後も『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』や『シャーロック・ホームズ』などが健闘し、日本映画で首位に立ったのは『ドラえもん のび太の人魚大海戦』のみである。

 4月に入っても『シャッター アイランド』や『アリス・イン・ワンダーランド』、『第9地区』などの洋画勢が際立った動きを見せている。一方の日本映画は、テレビ各局がプロモーションに力を入れ、個々の作品においては堅調に動員を集めているにもかかわらず、総じて洋画の勢いに呑まれている感じだ。


■「洋画離れ」層に対してより踏み込んだ訴求

 こうした洋画の攻勢を分析すると、以前とはプロモーション手法に明確な違いがみられる。昨年までの“全米大ヒット!”といった紋切り型の押し出し方ではなく、作品内容に密着しつつ、ターゲットの興味を喚起する個性的な戦略を多種多様に打ち出している。最も成功した例が『シャッター アイランド』だろう。“全ての謎が解けるまで、この島を出る事はできない。”というコピーでミステリー色を明確にしながら、おどろおどろしい映像で謎とサスペンスを印象づけ、さらに理解を深めるためという名目で“超日本語吹替版”を大々的に打ち出し、字幕が面倒くさいと考える10〜20代の「洋画離れ」層にアピール。オープニング週末の成績でトップを飾るヒットとなった。

 同様に『パーシー・ジャクソン』では“ギリシア神話が現代によみがえる!”と、コピーはありきたりながら、トレーラーやスポットをあえてギャグっぽいつくりにして若年層に訴求。『ハリー・ポッター』シリーズをよりライトにしたイメージが受け入れられるかたちとなった。このギャグっぽい発想は、『第9地区』における宇宙人の顔をモザイクでぼかすテレビスポットの趣向などにも現れている。

 さらに、キュートなキャラクターを活かしたキッチュなアプローチで大成功を収めたのが『アリス』だ。“世界はもう、マトモではいられない…。”なるコピーを打ち出しながら、とことん不思議の国の面白さを映像で訴求している。ジョニー・デップ扮するマッドハッターの珍妙な容姿をはじめ、ユーモラスなキャラクターを前面に押し出す作戦。原作自体にファンがついているところに、人気俳優のデップ効果、さらに『アバター』で3D作品の迫力を知ったターゲットに向けては、個性的なファンタジー色で惹きつける。これらのプロモーションが各ターゲットのツボに刺さり、メガヒットへと至ったのは周知の通り。そして、その根底には “ディズニー”印の圧倒的なブランド力が存在している。

 もちろん、すべての洋画がこうしたキメ細かいプロモーション戦略をとっているわけではないが、従来の「殿様商売」から、とりわけ若年層に対してより踏み込んだ訴求を行ってくると、日本映画も安閑としてはいられない。さらに戦略的なアプローチが必要となってくるはずだ。

2010年の国内興行ランキング首位獲得作品の推移

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