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(2009/11/20)

売れないUKロックをお洒落で救う!

 ここ数年、日本におけるUKロックに元気がない。売上10万枚を超える新人は、06年以降いないのが現状だ。しかしそうした中でも、デビューからアルバム2作続けて1万枚以上を出荷したカイトのようなバンドもいる。彼らは、2ndアルバム『サイエンス・フォー・ザ・リヴィング』が週間ランキング33位に初登場。今年の『サマーソニック09』ではソニック・ステージを満員にし、秋の来日公演も成功させた。注目すべきは、発売元であるラリー・レーベルが金沢を拠点とし、たった一人によって運営されていることだ。

カイト
カイト『サイエンス・フォー・ザ・リヴィング』


「カイトに限らず、当社がリリースするのは僕自身が気に入ったものが基本です。1人でやっていると、やりたいと思うことがすぐにできる利点があります」

 そう語るのはラリーの代表取締役、近越文紀氏。元々ラリーは洋服店で、レーベル運営は7年前からだが、氏は「今はダウンロードで音楽を買う時代。CDはモノとして欲しいと思ってもらわなければセールスにつながらない」と、レーベル運営に確固たる信念を持つ。

「特に大切なのはCDのアートワーク。日本の美的感覚と欧米のそれは違うので、アーティストを説得して僕とデザイナーで独自のものを作ります。絵本作家さんを起用することもあり、アートワークから『どういう音楽だろう?』と聴いてもらえる機会を増やします」

ザ・レイト・パレード
絵本作家の酒井駒子氏が手がけたザ・レイト・パレード『In Chase of Red Beads』のジャケット


 CDではオビにもこだわり、裏に情報を載せて音を想像する助けとし、表はアートワークを見せるために何も書かない。こだわりはそれだけにとどまらず、ファッション・ブランドとコラボしたTシャツ・プレゼントや来日イベントを実施したり、本屋や洋服店にむけてCDサンプラーを配布することも。「音楽ファンだけじゃなく、ファッションから入ってもらえれば」と入り口を広げて、聴いてもらうための努力を惜しまない。

 こうしたラリーのこだわりを、フリッパーズ・ギターの元メンバーにして音楽ライターの井上由紀子氏は高く評価する。

「近越さんは自分が出す音楽に絶対の自信を持ち、一つ一つ大切にしていて、それが伝わってくるんです。買う側からすればCDのオビ1つ、書体1つとっても、洋服のステッチと同じで、違いがあるのは分かるもの。あれもこれも付けたてんこもりはダメ。本当にオシャレは“引き算”。シンプルで必要なものを見抜く。ラリーはそのバランスにすぐれています」

 ラリーでは主催するライヴにもこだわりを持つ。手作りお菓子を用意し、照明も工夫を凝らして、親密感のある特別な場を演出する。こうした愛情あるこだわりが、売れないUKロックを、売れる作品に育てているのだ。

 最近では「大きさが可愛い」と、アートとして7インチのアナログ盤を買う若いリスナーも増えているという。「大事にしたいと思えるモノにはお金を出す」(井上氏)若いファンの心情をくみとったオシャレを追求することで、UKロック市場は新たな活路を見出せるはずだ。

7インチ
若者の間で密かなブーム、7インチレコード


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