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(2009/03/03)

マイルス・コープランド

音楽プロデューサー

世界各地で火がついたベリーダンス・ブームの仕掛人
「どんな仕事にも共通するのは、自分の気持ちに正直であること」

アメリカ発のベリーダンスのトッププロ集団「ベリーダンス・スーパースターズ」が、5月中旬、初の来日公演を行う。仕掛人は、過去にポリスやスティングを手掛けた音楽プロデューサー、マイルス・コープランド氏。異色とも思える組み合わせは、いかにして成功への道のりを辿ったのか?

マイルス・コープランド氏

自分の“普通の感性”を信じることが成功の第一歩

――マイルスさんといえば、かのスティング率いるポリスのマネージャーとしてバンドを成功に導いたことで有名ですが。

コープランドあの70年代後半という時代は、パンク勃興の時代でした。ポリスは、楽曲と演奏が抜群に良かったバンドで、しかも心の内にはパンクに堂々通じる精神性も持っていた。だから僕は、最初さえパンクの波に乗せられれば、あとはもっと幅広い世代に受けていくだろうと思っていたんです。まあ、残念なことにイギリスでは、演奏のうまさゆえにパンクの枠に入れてもらえなかったのは誤算でしたが(笑)。ところがアメリカでは、逆に演奏が達者なのが良く出ました。「どうせ下手っクソなんだろ、だってパンクの連中だろ?」という偏見に真っ向から張り合えましたからね。そしてアメリカから火がついて。結果イギリスにも、“商業的に成功したパンク”と逆輸入される形で受け入れられました。

――成功の秘訣は、時代の波に乗せた手腕だったということでしょうか。

コープランド当時ほとんどの人は、パンクを単なる音楽スタイルのひとつだと思っていたようですが、あれは世代交代、つまり新世代の台頭という大きな節目だったんです。それまで受けていた音楽が途端に“古くさいもの”へと追いやられ、ごっそりと音楽の表舞台に立つ人間が入れ替わった。もっとちゃんと大きな枠組みで捉えるべきものだったんですね。僕は、あの劇的な世代交代の、しかも台風の目になれる存在だとポリスをはなから信じきっていた。時代を読む目は良かったのかもしれないですね。ポリスと自分が、あの時代、あの場所にいたということは最大の幸運だったんでしょう。

――I.R.S.というレーベルの創設・運営も大きな功績ですよね。産業化して肥大した音楽にアンチの目が向いた80年代後半のアメリカで、カレッジチャートという草の根に目をつけて、インディペンデント系レーベルの牽引者となり、R.E.M.という大スターも輩出した。これも時代を読む目がもたらした成功ですか。

コープランドI.R.S.の話題は久しぶりだなあ(笑)。EMIに株を売って、すっかり僕の手を離れましたからね。成功の要因でひとつ思いつくのは、僕が手掛けるどんな仕事にも共通することですが、自分の気持ちに非常に正直であるということです。自分は突飛な感性の持ち主では決してないんです。大方の人とそう感じ方や意見は違わない。だからこそ自分が良いと信じたものは、他の人にもきっと良いと感じてもらえるはずだと。その信念に忠実にやってきました。普通は良いバンドだと思っても、「じゃあ投資を」となると尻込みしてしまう。でも僕は、自分の判断をとことん信じます。多額のお金をつぎ込んで後悔しないか? そこに確信を持てたら、僕は投資も労力も惜しまない。そこが他人と違うところかもしれないな。後に名曲として生まれ出るポリスの「ロクサーヌ」を聴いたときの感動と、「ベリーダンス・スーパースターズ(BDSS)」のトップダンサーであるソニアの踊りを見たときの感動は、基本的に全く一緒なんですよ。自腹を切っても見にいきたい、この初期衝動が大事です。僕は「ロクサーヌ」1曲で、ポリスは世界的なバンドになる可能性があると直感して、あとはバンドを世に知らしめるべく動いただけ。そんなもんです。

――では、BDSSのプロデュースも、ソニアの踊りに出逢ってからは一途に?

コープランドそう。本当に、心の底から彼女の踊りを美しく感じた。ただ、その感動を言葉にするのは難しいし、野暮だね(笑)。強いて言うならば、ソニアの美は、天の恵みとしての美だと思います。外見だけの美でもなければ、自分をきれいに見せようと汲々としている者の美とも違います。もっと大らかでピュアな美であり、心底ベリーダンスが好きなんだということが真摯に踊りから伝わるからこその美しさなんでしょうね。

――ベリーダンスには初めから興味が?CIAの職員だったお父上の転勤にともなって、レバノンやエジプトで幼少時代を過ごしたことも関係ありますか。

コープランドそういう意味では馴染みはあったけれど、ソニアの踊りに出逢うまでは、特に関心を払っていたわけではなかったですね。そもそものきっかけは、スティングの「デザート・ローズ」(※ライというアルジェリア発祥の一種のアラブ音楽を取り込んだ楽曲。00年にヒット)の成功かな。なるほど、アラブ文化圏の音楽もうまくすれば米国に浸透させることができるな、と気づかせてくれたんです。そこで、Oojami(オージャミ)というバンドの「ベリーダンシング・ブレイクビーツ」というCDを売り込むのに、踊りもセットにして視覚と聴覚から訴えようと、ダンサーのオーディションをしたのがスタート地点でした。ソニアと出逢ったのもそこでです。リバーダンスが今日こんなにもビッグになったのは、アイルランドの民謡とダンス、どちらも単体では知名度的に今ひとつマイナーな存在でしたが、合体させたことでエンターテインメントとして強力無比なものになったから。ベリーダンスもこの方法論でいけると直感したんです。

――その後は、今日に至るまでとんとん拍子で展開していったんですか。

コープランドとんでもない!(笑)。険しい、それも相当に険しい道のりだった。音楽業界出のあやしい男が、可愛いおネエちゃんたちを集めて悦に入ってるだけなんだろうと、かなり叩かれましたね。外部の人間からだけでなく、米国のアラブ文化のコミュニティからもね。「俺たちの文化を破壊する気か」って。と同時に、熱烈にサポートしてくれる人たちもいました。主にベリーダンスの伝え手たち、ベリーダンスを正当に文化として芸術として認められたいと欲していた人たちです。
 ベリーダンスの素晴らしいところは、本来の女性美を賛歌する美しい踊りだということです。実際見てもらえばわかりますが、老いも若きも関係なく、こんな体型が向いているということも全くありません。西洋や先進国では女性蔑視がない代わりに、モデルや女優たちの見た目を信奉するあまり、女性自身が“こうあるべきだと思い込んでしまっている女性像”が雑誌やテレビに氾濫しています。そしてそれに女性自身ががんじがらめになっている気がします。そういうプレッシャーから女性を解放し、個々が本来持っている健康的な美を追求するのがベリーダンスです。僕も、BDSSの面々も、応援してくれる人たちも、それを一心に信じて地道な活動を続けてきた結果が、今日なんです。日進月歩でしたが、ようやくボリショイバレエやリバーダンスといった舞踊団が使うような大きな会場で、BDSSも興行できるようになりました。

――では、かなりの達成感を得ている?

コープランドいやいや、その質問は1年後にもう一度してほしいな。まだ思い描いていることの50%程度しか達成していないのでね。公演規模ではなんとか追いつきつつある格好ですが、芸術形態としてバレエとかと同じ土俵に上げるのが目標です。それから、これは副産物的な側面での話ですが、ベリーダンスをアメリカと中東の架け橋にしたいんです。同時多発テロ以来、中東をテロの温床としか考えていないアメリカ人と、アメリカに蹂躙され憎しみしか抱かないアラブ人の間には大きな溝しかありません。それを僕は埋めていきたい。中東の男尊女卑をなくすことにも貢献できる。アラブ人は誇り高い民族ですから、女性だけのBDSSが世界中で成功したと知ったら、絶対気分が悪いはずはない。そしてその事実を認めるならば、やり遂げた女性たちをも認めることになるはずなんです。大きな、俯瞰した枠組みで捉えたとき、ベリーダンスには単なるエンタテインメントを超えた“意味”があると思ってます。

マイルス・コープランド氏
マイルス・コープランド氏(音楽プロデューサー)profile
44年生まれ。ポリスのドラマー、スチュワート・コープランドの兄であり、そのプロデュースも手がけるアメリカを代表する音楽プロデューサー。“ベリーダンス・スーパースターズ”をプロデュースし、これまでに世界20ヶ国で500回以上の公演を重ねる。
ベリーダンスPHOTO
世界中のベリーダンサーの憧れ「ベリーダンス・スーパースターズ」の初来日公演が行われる。5月16日(土)、17日(日)に東京・五反田のゆうぽうとホール、19日(火)に兵庫県立芸術文化センターで開催。また、「ベリーダンス・スーパースターズ」による、キレイになれるエクササイズ映像と、ライヴ映像などを収録したDVDが発売される。

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『ベリーダンス・スーパースターズ・プレゼンツ キレイをつくる! ベリーダンス・ダイエット(初級編)』◎ヒップスカーフ付き
初回生産限定盤:(UIBZ-9004)4800円(税込)
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(UIBZ-1019/20)3990円(税込)

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