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(2009/10/28)

秋元康氏 インタビュー
AKB48総合プロデューサー
「時代は、アイドルというドキュメンタリーを求めている」

“何だこれは?”という驚きが勝てるコンテンツを生む

──総選挙(13thシングル「言い訳Maybe」の選抜メンバーを決める、一般のファンによる投票)、初の日本武道館公演、海外でのライヴ。話題に事欠かないAKB48ですが、現在の状況をどう捉えていますか?

秋元 今はまだ関東ローカルだと思うんですよ。今後どうやって全国区にしていくかというのが課題でしょうね。ただ、もともとAKB48は非常に古い、アナログなやり方をしているグループなんです。

──専用の劇場で、ほぼ毎日公演を行うという。

秋元 劇場で起こることは、毎回違うわけです。毎日誰かが失敗したり、休んだり、MC でハプニングがあったり…。今は、その情報がモバイルやPCを通して、その日のうちに全国に伝わっていく。これからますます、それに耐えうるだけの情報量で提供し続けることが必要になってくるでしょうね。

──AKB48のスタートから4年近く経ちましたが、この間、アイドルを取り巻く環境はどう変化したと思われますか?

秋元 僕自身がクリエイターなので、マーケティング的なことありきで考えないんですけど、AKB48をスタートさせたときは、“劇場でのライヴを1 年くらい、コツコツやっていこう”と思っていたんです。“一般には知られていないけど、その場所では圧倒的な人気がある”というロックバンドや小劇団のような存在にしたいと。勝つコンテンツの条件は、“何だかわからないもの”だと思うんですよ。20数年前、N.Y.に住んでいるときにオフ・ブロードウェイで初めて観た“ブルーマン”もそうですけど、“何だろう、これ?”って思わせてくれるものは、やっぱり魅力的なんですよね。AKB48が海外でライヴをやったときのリアクションも、それに近いものがありました。現地の人たちが口をそろえて「Mr.秋元、どうしようか?」と言うんです。「おもしろい。何かやりたいけど、どうしたらいいだろう?」と。

──一方で、AKB48の成功を“新しいビジネスモデル”と捉えて、新たなコンテンツを作ろうとする動きも出てくると思うのですが。

秋元 出てくるでしょうね。でも、大変ですよ(笑)。僕がAKB48のために作詞した楽曲も年内には300を超えるでしょうし、衣装だって何千着作ったかわからない。とにかく効率が悪いんですよ。ただ、グループアイドルが増えているのはいいことだと思っているんです。ライバルでもありますが、同じ市場を開拓していかなくちゃいけないわけですから。AKB48とアイドリング!!!のコラボも、そのひとつ。日本中のアイドルを集めて東京ドームでライヴをやったりしたら、おもしろそうでしょ?

遊び方やルールはファンに決めてもらえばいい

──確かに。ファンのニーズもどんどん変わっていくでしょうし。

秋元 今は何よりも、(ファン同士の)横の繋がりが大きいですね。こちらがどんなに口当たりのいいことを言っても、彼らはちゃんと見抜くし、シビアな評価をする。だからこちらも、ガチでやるしかないところはありますよ。時代は、アイドルというドキュメンタリーを求めていると思うんですね。おニャン子クラブの時代は、テレビの向こうの視聴者の声は制作側までは届かなかった。今はネットで感想や意見が飛び交い、ファンの反応がすぐに届きます。とてもインタラクティブな形になっていると思います。ファンにとっても、スターを夢みる子たちのドキュメンタリーを最も近い距離で見るという新たな楽しみ方なんだと思います。

──なるほど。

秋元 先日の「大運動会」というイベントで、T シャツに寄せ書きをすることになったんです。ひとり1300枚以上書かなくちゃいけないんだけど、それをぜんぶ手書きする。そういうことのひとつひとつが、ドラマに繋がっていくんですね。大変ですけどね、本人たちは。おニャン子クラブの頃は、テレビが終われば普通の女子高生に戻れた。でも、AKB48のメンバーを見ていると、テレビに出させてもらうための筋トレをずっと続けているようなところがあるんです。毎日劇場に出て、レッスンをして、ブログを更新しているわけですから。アイドルであることを24 時間継続しなければいけないというのは、すごいことだと思いますね。

──プロデューサーへの要求もシビアになってくるのでは?

秋元 もちろんプロデューサーとして楽曲やイベントの提案はしていきますが、その後の遊び方、ルールに関しては、ファンのみなさんが考えてくれればいいと思っているんです。今までのアイドルには、詳しい説明書が付いていたんですよね。“この子は清純派”というような。でも、いくらこちらが説明したところで、ファンの人が違うと言えば、それまでですから。

──どう展開していくかわからない、という楽しさもありますね。

秋元 そう、先が見えないほうがおもしろいんですよ。AKB48がこれからどうなるかなんて、プロデューサーである僕自身がわかっていないんですから。年間スケジュールをしっかり決めてしまうような事業戦略、つまり予定調和は一番つまらない。今はライヴが重要な時代なんです。まず自分たちがおもしろいと思うことをやり続けて、そこからどう広がっていくかを考えたほうがおもしろいと思いますね。予想できないことが起きるっていうのは、すごく大変ですけどね(笑)。

秋元康氏
作詞家。美空ひばり「川の流れのように」をはじめ、EXILE『EXIT』ほかヒット曲多数。08 年、ジェロ「海雪」で第41回日本作詩大賞受賞。TV 番組の企画構成、映画の企画・原作など多岐にわたり活躍中。アイドルグループ“AKB48”“SKE48”“SDN48”の総合プロデューサーも務める。

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