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(2013/04/08)

リアルタイム視聴とCM視聴を狙った規格外ドラマ『永沢君』


『永沢君』 TBS 毎週月曜〜木曜 23:53 〜 23:58


植田博樹氏 TBSテレビ 制作局ドラマ制作部
Profile/1967年生まれ。1990年に同社入社後、ドラマ制作部に配属。近作に『SPEC 〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(10年)、『ATARU』(12年)などがある。

 月曜から木曜日の深夜のミニ枠で5分間ドラマ『永沢君』(TBS系)がスタートする。このドラマをプロデュースするのは昨年、『劇場版 SPEC〜天〜』、ドラマ『ATARU』を連続ヒットさせた植田博樹氏。リアルタイム視聴に徹底的にこだわってきた同氏が次に手を付けたのが「CM」。近年の録画視聴によりスキップされることが多くなったCMを見てもらうべく、同ドラマでテレビ界のCMの在り方に革命を起こす。


■コント番組の灯をTBSで維持したかった

 4月期のドラマの中で、ひと際、異彩を放っているのが4月1日より放映中の『永沢君』だろう。さくらももこの人気漫画『ちびまる子ちゃん』に登場する毒舌キャラクター・永沢君の中学時代を舞台にした同名漫画を、劇団ひとり主演で実写化した。放映は、毎週月曜から木曜までの帯で、深夜11時53分から58分までの5分間ドラマとなる。

 主演の劇団ひとりに加え、漫才コンビ・はんにゃの金田哲などユニークなメンバーを揃え、監督には『SPEC』の最新劇場版の公開も控える堤幸彦と『ATARU』のチーフディレクター木村ひさしが務めるという、ミニ枠とは思えない豪華な布陣だ。

 「日頃から原作者のさくらももこさんと親しくさせてもらっていて、ふと『永沢君』を実写にしたら面白いねという話になりました。さくらさんは国民的で、メジャーな存在ですが、むしろカルト的な部分が恰好いい。そこに焦点を当てて映像化したいと考えた場合、ゴールデン枠では相応しくなく、長尺でも描けない。そこで、昔でいえば『スネークマンショー』のようなコント世界にしようと考えました」(TBSテレビ制作局ドラマ制作部 植田博樹氏)

 また、このドラマの制作には通常のドラマ作りとは異なる思いもあった、と植田氏は明かす。

 「TBSにコント番組がなくていいのか、と。そんな思いがありました。かつては『8時だヨ!全員集合』というコント番組があったのに、今は“ひな壇トークショー”ばかりになっている。90年入社の我々としては、先輩から受け継いだコント番組という伝統を後輩に渡したい。その思いも『永沢君』の制作に込めました」


■幅広い才能を集めたプロの本気の学園祭

 さらに同ドラマには、TBSでドラマ一筋にやってきた植田氏の積年の思いも込められている。

 「今はハードディスクへの録画が増え、テレビがリアルタイムで視聴されなくなり、CMがスキップされる問題が起きています。これはテレビのビジネススキームの崩壊であり、テレビドラマというコンテンツの未来もなくなってしまう事態です。これまでも、Twitterで同時解説したり、クイズを織り込むなどして、リアルタイム視聴を促してきましたが、CMを見てもらえず、テレビマンとして忸怩たる思いがありました。今回はCMをコンテンツに組み込み、CMの内容に永沢君が入っていくなど、積極視聴をテレビ局が仕組みます。この番組で革命を起こしたい。そもそもCMをいじるのはタブーでしたからね。こういう大胆な試みが許されるのがミニ枠の特性でしょう。この作品で会社にも一石を投じたいです。こんなやり方もあるんじゃねーかと。新しいことをやる局であろうよと」

 5分という長さにしたのはゲリラ的イメージをつけたかったからで、むしろ『ニュース23』の後に置くことにこだわったと、植田氏は語る。ニュースを見るリアルタイム視聴層に続けて見せる思惑もそこにある。

 「今回は中島らもさんの伝説的番組『なげやり倶楽部』のようなテイストを目指しました。また、やりたい人には脚本でも演出でも広く門戸を開いています。さくらさんをはじめ、スタッフ、そしてスポンサーの担当者の方々、一般人、週刊誌とかでドラマを叩いている自称評論家様にも参加していただくつもりです」

 5分番組だとドラマ部分は正味1分強。スタジオでの1日の撮影で1ヶ月分を収録する。

 「“プロの本気の学園祭”というのがコンセプトです。1分ならやりたいという人が他の分野、アニメやCFの世界にも大勢います。そうした方々のアイデアを結集した規格外の発想とテレビというメディアだからこそできるクオリティで、YouTubeを眺めるよりテレビの方が面白いと思ってもらうのが最終目的です」

 メディア・リテラシーも重要だが、テレビは何でもできることも証明したいと、植田氏は結ぶ。『永沢君』がテレビ界に、どんなセンセーションを巻き起こすか、注目したい。


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