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(2013/03/04)

“生歌”“生演奏”への強いこだわり
「笑わない音楽番組」を標榜 「音楽の世界遺産」目指す


『僕らの音楽』(フジテレビ)毎週金曜日23:30 〜 23:58 に放送 ナレーション:草なぎ剛

Profile/きくち伸氏(ゼネラルプロデューサ)
1985 年入社。フジテレビ「音組」主宰。『夜のヒットスタジオデラックス』のAD からスタート、94 年『HEY!HEY!HEY!』を立ち上げ、『TK MUSIC CLAMP』(95 年)からプロデューサー、『LOVE LOVE あいしてる』(96 年)、『FACTORY』(98 年)、『堂本兄弟』(01 年)、『僕らの音楽』(04 年)、2002 年から『FNS歌謡祭』、05 年からは『MUSIC FAIR』も制作。

きくち伸氏(フジテレビジョン)

トークバラエティー化する音楽番組が目立っていた04年に放送を開始した『僕らの音楽』。“音楽”を視聴者に届けることを目指すスタンスは視聴者に強く訴求。番組では数々のコラボレーションを通して、アーティストのさらなる音楽家としての魅力を伝える。また、番組での成功例は、『FNS歌謡祭』につながり、大きく展開するというスキームもでき上がった。そこには“音楽番組”ならではの強いこだわりがあった。


■より良い音を追求。視聴者ニーズとの折り合いなんて構わない

 老舗の音楽番組の多いフジテレビの中では比較的後発ながらも、この春から10年目に入る人気番組『僕らの音楽』。番組を立ち上げたきくちプロデューサーの音作りに対する熱い思いが凝縮された、純粋で硬派なプログラムである。

「立ち上げから10年制作していた『HEY!HEY!HEY!』は音楽業界と無縁だったダウンタウンをMCに起用して、成功を収めました。それから10年、どの局の歌番組もあまねくお笑いトークを中心に据えた同じようなものばかりとなりました。そこで『僕ら』は「笑わない音楽番組」を標榜して「音楽の世界遺産」を作ろうと考えたんです」

 個性豊かなアーティストにスポットを当て、生演奏収録に加えて、ゆかりのあるゲストとの対談を配したシンプルな構成は、金曜午後11時30分という落ち着いた時間帯に相応しい。ライブパートにおいては、1曲のためにゲストミュージシャンが参加することも珍しくない。最近では倖田來未の回に工藤静香が初共演し、大きな話題を呼んだ。

「静香さんは『昔、どうしても共演したい先輩アーティストがいたんだけど断られて、だから自分がそういう立場になったら絶対に来ようと思っていた』と話していて、こういう音楽に愛情のある話を聞くと、番組やっててよかったって思いますね」

 そんなスタジオライブのキーポイントになっているのが、一流のミュージシャンが結集したバンド演奏。それを受けて、綿密なトラックダウンをはじめ、より良い音を追求し続ける、きくち主宰率いるスタッフチーム“音組”のスタジオワークも、クオリティを高める大きな役割を担っている。

「“音組”のこだわりとは、生演奏・生歌です。バンド、アイドルなどジャンルや、演出の都合を問わず、お願いしています。『ミュージックフェア』のとき、“いつもマイクをオフにされる”と言われているSKE48の松井玲奈ちゃんのボーカルをトラックダウンの時にチェックしたら、アイドル歌手としては他と遜色なくそこそこ歌えているんです。本人にそのことを伝えたら、モチベーションが上がったようで。うまい、へたじゃなく、口パク(=歌わない)という時点で歌手として負けていますよね。去年の民放音楽番組で最高視聴率18.3%(ビデオリサーチ 関東地区)を獲得した『FNS歌謡祭』は79曲のうち63曲を生演奏、生歌で生放送しました。様々なリスクを考えると『FNS〜』はテレビとしては大いに間違っているとは思うんですけどね(笑)。『ミュージックフェア』も今後は生歌での紹介にしました。歌手であるからには、普通に歌えるのが絶対条件だと思うんですよ」

『僕らの音楽』や『ミュージックフェア』で印象的だったコラボを、さらに磨き上げて多くの視聴者に披露する場が、『FNS歌謡祭』だ。

「ここ数年、インタビューを基本的に撤廃し、曲数を著しく増やして連綿とつなげて生演奏しています。“音組”というスタッフチームなしでは不可能な構成です。息つく間もなく、視聴者が席を立ったり、チャンネルを変えたりする間がないように」

 これだけ生演奏、生の歌を深く追求しているきくち氏だが、一方で多くの視聴者がカラオケや口パクでも一向に構わないと思っていることも、充分把握しているという。

「そういう人はそういう番組を見ればいいと思うんですよ。音組以外にいくらでもあるし。少なくともレギュラー番組では視聴者ニーズとの折り合いとか、あまり考えたことがないですね。やりたいことをやっているだけ(笑)」


■知名度にはこだわらないブッキング

 アーティストの起用についても、知名度にこだわらないブッキングを積極的に行う。

「『僕ら』が音楽業界での知名度を大きく上げるきっかけになったのが、2年目にオンエアした「向井秀徳×椎名林檎」の回でした。あの時に演った「KIMOCHI」が業界で話題となり、出たいと言ってくれるアーティストの数も種類も大きく拡がりました。ドラマ『電車男』放映前のサンボマスターもそう、あの時の彼らで番組を作ることに意味があって、それによって恐らくは『僕らの音楽』カッコいい!と思ってもらえたのでは」

 きくちPにとっての、判断基準はカッコいいかおもしろいか、2つだけ。そこに“音組”という強力な音楽スタッフが加わることで、常に新たな道を切り開いていくことができるのだろう。

※『ミュージックフェア』は毎週土曜18:00〜18:30に放送



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