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(2012/09/24)

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音楽の持つ世界を「視覚体験」に変換  川村真司氏(アートディレクター)


1979年東京生まれ、サンフランシスコ育ち。博報堂でCMプランナーとして活躍した後、海外に舞台を求め、アムステルダム、 ニューヨークなどで広告代理店に勤務。その傍ら、友人のバンドであるSourの「半月」「日々の音色」「映し鏡」など、革新 的なMV 作品を発表、世界から注目を集める。2010年に帰国し、クリエイティブ・ラボ「PARTY」設立。
海外では「ビジネス界における最も創造的な100 人」などにも選出される川村真司氏は世界が認める気鋭の若手クリエイター。軸足は広告業に据えているが、プロダクトデザインやミュージックビデオ(MV)制作など、活動は多岐に渡り、特に音楽業界から熱い眼差しが注がれている。カメラ250 台分のストロボをパソコンにつないで電飾を作り出したandrop の「Bright Siren」MV や、ユニコーン×宇宙兄弟のプロジェクトなど、手がける作品が話題にならなかったことはない。「体験の面白さ」がアーティストとファンをつなぎ、情報の拡散・伝播に活きるという川村氏に話を聞いた。(オリジナル コンフィデンスより抜粋)

―― androp の「Bright Siren」は、カメラ250 台分のストロボをパソコンで同期して光らせて、巨大な電飾を作り出したすごいミュージックビデオ(MV)でした。
川村 あれはCG もギミックも一切なく、夏の東雲(東京・江東区)の倉庫をまっ暗にして、ストロボが光るタイミングだけコントロールして撮りました。思い出がモチーフになった歌詞だったのと、曲タイトルの「bright =光る」から、カメラという思い出を残す機械&ストロボを連想したのですが……本当によく、あの突拍子もない案をバンドがOK してくれたなあと思います(笑)。いやもちろん、実現できないようなアイデアは僕も提案しません。だけど、技術的に実現ギリギリの際を攻めたものだったのと、画的にもストロボの光る瞬間しか何も映らないようなものだったので、正直よく信じて採用してくれたなと。むしろそれで期待に応えたい気持ちがいっそう強まりましたよね。だからこそ、撮影に2日間取っていたうち、カメラ機材のセッティングが1 日目の夜中まで終わらなかった時は、半ば切腹も覚悟しました(笑)。配線が終わってストロボが計画通り光り出したときには、まだ始まってもいないのに「撮影終了」と浮かれてしまいました。

―― やはり技術的にも大変な仕組みだったんですね。
川村 はい、大変でしたね。僕自身は比較的「アイデアの人」なんですが、昔プログラマーだったこともあって、頑張れば実現できるアイデアか否かの判断はつきます。その線引きを大切にして提案はしています。これは大変だけど、できるという読みがありました。
 アイデアというのは面白いもので、たくさんあるに越したことはない。でも、削ぎ落としていくのも僕らクリエイターの大切な仕事じゃないかと思っているんです。というのも、アイデアの詰め込みすぎは、見る人を置いてきぼりにしてしまう可能性が大きいんです。

■徹底的に楽曲を聴き込み、映像のヒントを得る

――MV を作る際、アーティストや歌詞の世界との距離の取り方で、自分なりのルールはありますか。
川村 僕は割とシンプルな考えをするほうだと思います。音楽や楽曲の持つ世界を視覚体験に変換してあげる――その手伝いをしている感じです。歌われている内容を、視覚を動員することでもっと深い体験に変える、アーティストが表現したかった世界により近づけるというか。だから、曲は徹底して聴き込みますし、歌詞とタイトルはすごく大事にします。かなり忠実に曲の中から映像のヒントを得るようにしていますね。
 ただし、演奏シーンだけで構成され、完成された美しいビデオもありますけど、僕はそれをやろうとは思いません。演奏シーンを見たいならファンはライブに行くだろうと思っているし、若干、人を撮ることへの苦手意識もあるかな……。ともあれ、曲がそもそも素晴らしいのだから、その世界や歌詞になるべく寄り添いつつ、別のアングルから楽曲の魅力にアプローチできるようにしたい、という思いが強い。耳で聴くのとは別の体験を提供したいんです。

―― 苦手意識ですか? とすると、川村作品としてはストレートな部類に入るだろう、androp の新曲「Boohoo」などは、撮っていて少し照れもあったりしたのではないですか。
川村 正直言うとその通りです。今回は、曲がとても情熱的だったこともあって、「Boohoo」では逆光やストロボなどに逃げない撮り方をしようとは決めていたんです。実際のMV では、バンドのパフォーマンスと、映像がRGB という光の三原色にバラける手法を採っています。「同じパフォーマンスを撮るにしても、一筋縄には撮らないのが僕のやり方」という主張が少し出ています。もちろん大前提としては、あの作品自体がトリプルA 面シングルだったり、多面性がテーマにあったりしたので、それを表現するためにRGB3 チャンネルに映像を振り分けるモチーフを考えたのです。

――それでは逆に、強み・長所は?
どんなメディア、どんな素材・表現法であろうと、アイデアそのものを大事にできるところでしょうか。僕はそれこそ、「つまらないものを作ったら死ぬ」と思っているような人間なので(笑)。絶対、面白いものにする自信と覚悟はあります。またandrop の例で恐縮ですが、「Bright Siren」のときに、ストロボの電飾が光る様子を、A からZ までの各アルファベットぶん撮っておいたんです。ファンが特設サイトでメッセージを入力すると、その文言が電飾メッセージになってMV に挿入される仕組みです。そうすると、あるファンの「Konban Nani Taberu ?」というメッセージの入ったMV が、今度はYouTube に投稿されたり(笑)。アーティストとファンが1 つの体験をシェアするだけでなく、他のファンにも体験が拡散していくのが、この時代らしい楽しさかなと。

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