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連載コラム : 亀田誠治

日本人がR&Bを日本語で歌った“音楽革命”から20年
今なおシーンを牽引する久保田利伸


    「LOVE RAIN〜恋の雨〜」 久保田利伸
「LOVE RAIN〜恋の雨〜」
(SECL-887)
6月16日発売

   

 木村拓哉主演の月9ドラマ『月の恋人〜Moon Lovers〜』(フジテレビ系)の主題歌として久保田が書き下ろした新曲。発売初週で2.2万枚を売り上げ、6/28付シングルランキングで3位に初登場。木村主演の月9ドラマ『ロングバケーション』の主題歌として大ヒットした、ナオミ・キャンベルとのコラボ曲「LA・LA・LA LOVE SONG」(1996年5月発売/累積売上185.6万枚)で首位を獲得して以来、14年ぶりのシングルTOP3入り 日本人が本場R&Bを日本語で歌った“音楽革命”から20年、今なおシーンを牽引する久保田利伸


 久保田利伸の「LOVE RAIN〜恋の雨〜」は初登場3位でロングセールス中です。「LA・LA・LA LOVE SONG」以来14年ぶりのTOP3入り!アラフォー世代ならば、誰が聴いても「久保田利伸だ!」とわかる歌声です。街鳴りをしているこの「LOVE RAIN〜恋の雨〜」を聴くたびに、彼が20年前のJ-POPシーンで起こした革命を思い出します。

  その革命とは「日本人が日本語で本場R&Bを歌う」ということへの挑戦と、成功です。その結果「日本人リスナーが日本人の歌うR&Bに初めて夢中になる」という道を開いたのが久保田利伸なのです。88年の大ヒットアルバム『Such A Funky Thang!』から20余年。今ではR&Bの影響を受けていないボーカルやサウンドを探す方が難しいくらい、J-POPのR&Bの市民権は確立されました。

  彼の歌はR&Bに対する畏敬の念がちがいます。“黒く”なるという覚悟がちがう。徹底してスティービー・ワンダーやマーヴィン・ゲイ、ダニー・ハザウェイといった、ソウルトレインなブラックミュージックのエッセンスを吸収し、掘り下げ、日本人が日本語でR&Bを表現するためのフィジカルとメンタルを、自ら鍛えていったのです。これが久保田利伸が今なおJ-POPスタンダードとして君臨する所以です。80年代後半の音楽シーンに散見された「ややR&B」や「R&B風味」といったシティーポップアーティストと根本的にアーティストを組成している細胞が違うのです。

  音楽の連鎖。僕は久保田利伸の久々のヒット作で、あらためて時代と音楽、人と音楽の連鎖というものを強く感じました。この楽曲のヒットをささえているのは、名盤『Such A Funky Thang!』の存在を知らない人かもしれない。名曲「Missing」をカラオケで歌ったことが(or聴いたことも)ない人かもしれない。しかし、ケミストリーや平井堅も、みんな久保田利伸の描いた白地図を、それぞれのオリジナリティーで染めていった結果、今の彼らがあるのです。MISIAや宇多田ヒカルといった女性R&Bの登場も、「LA・LA・LA LOVE SONG」の撒いた種が実を結んだ証ともいえるでしょう。こう考えると、今のJ-POPシーンの中で活躍する久保田’sチルドレンの数は想像以上に多いはずです。

  時代の連鎖も見事です。この「LOVE RAIN〜恋の雨〜」はドラマ「月の恋人〜Moon Lovers〜」の主題歌になっており、主演は木村拓哉。勘のいい方はお気づきですね。これは、96年の200万枚を記録する大ヒットとなった「LA・LA・LA LOVE SONG」(feat.ナオミ・キャンベル)と、ドラマ「ロングバケーション」の木村拓哉主演という点で繋がっているのです。そう、ロンバケの流れのファン(キムタクファン&トレンディードラマ世代)もしっかりつかみつつ、新しい音楽ファンも獲得。このやり方は、ベテランアーティストを次世代につなげていく素晴らしいアイデアだと思います。

  そしてこの「LOVE RAIN〜恋の雨〜」、音楽的なツボは、トラックがシンプルでメロディアスなところ。イマドキのJ-R&B定番のストリングスアレンジで泣かせる手法をとっていないのがとっても新鮮。アレンジ&サウンドプロデュースに、久保田利伸がデビュー以来の盟友Yoichiro Kakizakiのクレジットがあるところに感激。20年以上タッグを組んで、時代にフィットした明確なR&Bサウンドを提供する。ジャネットとジャム&ルイスの関係みたいで素敵だな。

  久保田利伸といえば、デビュー前に遊びで制作したデモテープ「すごいぞ!テープ(海外曲のカバーなどを収録)」(テープというところが時代を感じさせます…)。このデモテープが業界内で大変な話題になったのは有名な話です。実はちょうどその頃、アマチュアだった僕は、久保田さんのライブをライヴハウスで観たことがあるのです。

 「すごいぞ!テープ」どころか、「すごいぞ!ライヴ」。当時としては、規格外の歌のうまさだったことを記憶しています。

 ミリオンヒット達成後に、単身で渡米し、自分の音楽への夢を追い続け、そしてスキル、何よりもフィジカルとメンタルを高め、再びJ-POPに戻ってきた久保田利伸は、国宝級のアーティストだと思います。心からリスペクトの気持ちを込めて。




亀田誠治 公式ブログ「亀の漫遊記」
http://www.ganso-makotoya.com/blog/

Profile:1964年、N.Y.生まれ。幼少の頃よりクラシックギター、ピアノなどを学び14歳でベースを弾きはじめる。89年頃より、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を始める。これまでに椎名林檎、スピッツ、平井堅、スガシカオ、アンジェラ・アキ、Chara、木村カエラ、秦 基博等のプロデュース&アレンジを手がける。アーティストの長所を引き出す「いいとこどり」が得意。ビートルズと太宰治と赤塚不二夫をこよなく愛す46歳。

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