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定額制動画配信サービス「ディズニープラス」日本上陸のインパクト

(2020/06/16)


 世界的に市場を拡大している定額制動画配信サービス(SVOD)で、すでに圧倒的なシェアで先行するNetflixは、この4月には有料会員が前年比15%増(1570万人増)となり、全世界では1億8300万人を超えたことを発表した。そんななか、アメリカではメジャースタジオ各社がそれぞれの動画配信サービスを続々とスタートさせている。そして、日本でもウォルト・ディズニー・ジャパンが6月11日、定額制動画配信サービス(SVOD)「Disney+」(ディズニープラス)の提供を開始し、新たな展開を迎えている。

当初の予想を上回る勢いで会員数を拡大する「ディズニープラス」

「ディズニープラス」の日本ローンチは、米ディズニーの決算発表でアナウンスされていたが、ディズニーとドコモによる月額定額制(SVOD)の動画配信サービス「ディズニーデラックス」が19年3月よりスタートしていたこともあり、サービス開始が遅れていたが、この6月についにサービス開始となった。

 アメリカでは、定額制動画配信サービス(SVOD)シーンは長らくNetflixの一強が続いていたが、2019年11月に、大きな動きが起こった。米メジャースタジオの1つ、ディズニーによる「ディズニープラス」、そしてデバイスとソフトでエンタテインメントシーンの一大勢力になっているAppleによる「Apple TV+」の大手2社が、定額制動画配信サービスに参入したのだ。「ディズニープラス」は、競合に比べて後発となったものの、ローンチからわずか半年で会員数5000万人を突破。コロナ禍による巣ごもり需要も後押しとなり、当初の予想を上回る勢いで会員数を拡大しており、その勢いを持って今回の日本上陸となった。

「ディズニーデラックス」(会員数は未発表)は、ディズニー、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム(スター・ウォーズシリーズ)といったディズニー傘下4スタジオの作品(実写/アニメーション、映画/テレビシリーズ)を配信。「ディズニープラス」オリジナル作品も一部ラインナップされている。一方、「ディズニープラス」は、「ディズニーデラックス」で配信されている作品に加えて、マーベルやスター・ウォーズのオリジナルドラマシリーズ、ナショナルジオグラフィックの作品を配信。さらに、今年3月には『アナと雪の女王2』、4月にピクサーの『2分の1の魔法』、5月に『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』といった、アメリカで劇場公開が終わったばかりの新作映画も配信ラインナップに加わっている。


6月11日(木)よりディズニープラスで配信中

 こうした配信コンテンツの充実度や、すでにスタートしているアメリカでの勢い、市場の覇権をかけて積極投資するディズニーの本気度を鑑みても、「ディズニープラス」の上陸が日本の動画配信市場にインパクトを与えることは間違いない。ただし、ディズニーが日本で圧倒的に強い映画は、各プラットフォームのTVOD(都度課金)のほか、SVODでも「ディズニーデラックス」で昨年から配信スタートしているものの、サービスの大きな普及拡大には至っていないことから、すでに各ジャンルのコンテンツにおいてそのクオリティが高く評価されているNetflixの牙城をすぐに崩せるかどうかは、現時点では不透明だ。

 しかし、コアファンとファミリー層のディズニーファン、マーベルやスター・ウォーズの映画ファンに加えて、定額制サービスと相性のよいオリジナルドラマがいかに話題性と人気を得られるか。どこまでエンタメライト層を取り込めるかが、ひとつのカギになりそうだ。強力なIP群とブランド力をフックに、一般層へと広がりを見せているシーンのパイの裾野を「ディズニープラス」がより拡大していく可能性は十分あるだろう。

メジャースタジオ動画配信サービスが出揃ったアメリカは戦国時代突入

 アメリカでは前述の2社に続き、メジャースタジオの一角である、ワーナーメディアによるSVOD「HBOマックス」が5月27日に開始、NBCユニバーサルによる「ピーコック」が7月15日からスタートすることが発表されている。前者は、ワーナー映画やケーブルテレビHBOドラマ、ニュースチャンネルCNNドキュメンタリーのほか、スタジオジブリ作品も扱う。後者はユニバーサル映画のほか、グループの米三大ネットワークのひとつNBCや、ケーブルテレビ大手コムキャストのスポーツやバラエティを含めた豊富なテレビコンテンツも配信。両社ともに豊富なクラシックコンテンツがあるため、ディズニーに続いて躍進するのではないかと期待が高まっている。
そうしたなか気になるのが、各社が料金形態においてNetflixより低い基本設定を設けているなか、「HBOマックス」のみが割高なこと。これが同メディアの固定ファン以外にどう響いていくか注目される。このように、アメリカでは、メジャースタジオ各社の動画配信サービスが出揃い、新たな覇権争いをかけた戦国時代がいままさに始まろうとしている。
(文・武井保之)

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