ヒットがみえるエンタメマーケット情報サイト


親世代の願いを叶えるファミリー映画の価値

(2018/11/22)

 ファミリー向け映画で成功を収める作品の共通点は、「親子2世代」を取りこめている「定番作」であること。ちなみに2017年の映画興行収入を見てみると、邦画1位は『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』。97年から続く人気アニメシリーズで、親世代からの支持も厚く、例年安定した好成績を収めている。一方、洋画1位は『美女と野獣』。ディズニーの長編アニメーション映画の実写リメイク作で、定番作と言っていいだろう。

 今年も、さまざまなファミリー向け映画のヒット作が生まれたが、そのなかで「親子2世代」で楽しめる作品は何か。そこで小学生の子ども持つ親に、今年公開された作品の中から、“この冬、家族で一緒に観たい作品”を挙げてもらった。その結果が下表だ。結果は、『インクレディブル・ファミリー』が1位となった。またこの調査からは一口に“ファミリー向け映画”といっても、上位作品の異なる“個性”も見えてきた。



大人層にも訴求したピクサー映画『インクレディブル・ファミリー』『リメンバー・ミー』

 今夏に公開されたディズニー/ピクサー20作目の長編映画『インクレディブル・ファミリー』は、04年に公開されて人気を博した『Mr.インクレディブル』の続編で、14年ぶりの新作ではあるものの、クオリティの高さで定評のあるピクサーブランド印がついているとあれば、この人気の高さも頷ける。

 超能力を持つ一家5人の姿をユーモアたっぷりに描いた本作では、ヒーロー活動をすることになった母・ヘレンの活躍や、彼女に代わり“イクメン”となった夫・ボブの奮闘など、家族の描き方が現代的で、子どもだけでなく大人にも十二分に訴求する内容になっている。それもあって、選出の主な理由としては、「劇場で観て面白かったのでまた見たい」、劇場で見逃した人も「前作が面白くて家族で楽しめたから」という声が大半を占めた。

 ピクサー長編映画からはもう1作、『リメンバー・ミー』がランクイン。『トイ・ストーリー3』の監督が、メキシコを舞台に陽気でカラフルな「死者たちの世界」を描いた家族の絆の物語だ。

 今年3月の第90回米アカデミー賞で2部門を受賞、主題歌「リメンバー・ミー」もアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主題歌賞をダブル受賞した話題作ということもあり、公開時はファミリー層だけでなく、20代〜30代の若年層のカップル、女性、映画好きの男性客やシニア層まで幅広く集客した。選出理由では「感動」「泣ける」「心温まる」「家族愛」といった、エモーショナルな表現のコメントが目立った。子どもが好きだから、というよりは、むしろ「劇場で観た感動を家族でもう一度分かち合いたい」と考える親層のニーズが高いようだ。


左から『インクレディブル・ファミリー MovieNEX 』(C) Disney/Pixar、『リメンバー・ミー MovieNEX』(C) Disney/Pixar、  『アナと雪の女王/家族の思い出』(C) Disney


小学生女子から圧倒的な人気のディズニー映画『アナ雪』最新作

 同作の物語の鍵となる美しい主題歌「リメンバー・ミー」は、日本中に“アナ雪”ブームを巻き起こした洋画アニメーション歴代No.1作『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー」のロバート&クリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が作曲したもの。その『アナと雪の女王』の新作『〜家族の思い出』(22分)が『リメンバー・ミー』の同時上映作として4年ぶりに劇場公開され、同作もTOP5内に入った。

 エルサとアナ姉妹はもちろん、オラフやトナカイのスヴェンなど、人気キャラクターたちが再結集しているこの作品は、クリスマスをテーマにしており、季節感がぴったりハマることや、「子どもが好きだから」「ディズニーが好きだから」という回答が大半を占めた。親層のニーズが高い『リメンバー・ミー』とは異なり、小学生女子から圧倒的な人気を集めているようだ。

大人層も取り込み興収右肩上がりの『映画ドラえもん』『名探偵コナン』


左から『映画ドラえもん のび太の宝島』、『劇場版名探偵コナン ゼロの執行人』

 子どもの人気が高い作品ということでは、藤子・F・不二雄の国民的コミック「ドラえもん」の映画版シリーズの最新作『映画ドラえもん のび太の宝島』が2位にランクインした。
 
「すべての、子ども経験者のみなさんへ。」というコンセプトで14年に公開された『STAND BY ME ドラえもん』は、「感動できる」「泣ける」とかつてのファンである大人層のハートもがっちり掴んで興収83.8億円の大ヒット。以降、家族層だけでなく大人のみで鑑賞するドラえもんファンも増えており、毎年高い興行成績を残している。それもあって、本作を選んだ理由として、「家族で楽しめる」に加え、「自分も好きだから」という回答が散見された。また、「安心して子どもに観せることができる」というのも、この作品ならではと言えるだろう。

 もう1作、邦画でランクインしたのは、こちらも子ども人気が高い定番中の定番『名探偵コナン ゼロの執行人』。例年GW前に公開されている人気シリーズだ。もともと高い人気を誇っていたが、新キャラクターが登場した16年(『〜純Kの悪夢』)以降、一気に興が伸長し、昨年公開の『〜から紅の恋歌(ラブレター)』(68.9億円)は、17年邦画興収1位、今作は4月13日の公開以降、7週連続で週末動員ランキング1位を獲得。累計興収はシリーズ初の80億円を突破する空前の大ヒットとなった。

 『名探偵コナン ゼロの執行人』は、サブキャラクターの人気も相まって、劇場には子どもだけでなく大人の女性層が多く詰めかけ、今回のアンケートでも「自分が好きだから」と回答した人が5作品中で突出して多かった。子ども人気に加え、母親層の支持を得ている様子が伝わってきた。

作品を選んだ親世代に共通するのは“子どもと一緒に映画を楽しみたい”という想い



 前段で「親子2世代」を取りこめている「定番作」がヒットしていると書いたが、親子2世代の取り込み方も、作品ごとに異なる。『アナ雪』のように「子どもが好き」で安心して観せることのできる作品、『リメンバー・ミー』や『インクレディブル・ファミリー』のように、親世代が子どもと「家族愛」を共有したい作品、『ドラえもん』や『名探偵コナン』のように親子2世代の共通体験が味わえる作品と、今回の調査からは、そういった5作品の要素の違いや、「子どもが観たがる」「子どもに観せておきたい」といった親の思惑も見えてきた。しかし、根底に流れる共通の願いは“子どもと一緒に映画を楽しみたい”という想い。これら作品を通して、親子で一緒に観て、感想を話して、共通の話題が増えていく、そんなファミリー映画ならではの“魅力”も再確認できるだろう。

※文中の興収は一般社団法人 日本映画製作社連盟発表資料を参照
〔調査概要〕
調査対象者:中学生以下の子どもを持つ全国20〜40代
サンプル数:579サンプル
調査期間:2018年11月5日(月)〜11月8日(木)
調査方法:インターネット調査
調査主体:オリコン・モニターリサーチ

Go to Page Top

Go to Page Top