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(2009/06/03)

音事協ら3団体、権利処理の効率化へ
「映像コンテンツ権利処理機構」設立

 実演家3団体が4月30日、「映像コンテンツ権利処理機構」の設立を発表した。新機構は、実演家の権利を守りながら、映像コンテンツのインターネット上における二次利用を促進するための権利者団体側の試みだ。

著作隣接権の許諾窓口を一元化へ

 日本音楽事業者協会(音事協)、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)、音楽制作者連盟(音制連)の実演家3団体は4月30日、一般社団法人「映像コンテンツ権利処理機構」を立ち上げることを発表した。新機構は、映像コンテンツにおけるタレントら実演家の権利処理業務を一元化することを目的とする。インターネット上における様々なサービスが発達するなかで、映像コンテンツについても今日、二次利用に対するニーズが高まっているが、例えば、テレビドラマをインターネット上で配信する場合、出演者全員の許諾が必要となる。テレビ局が出演者の許諾を取る際、タレントの所属するプロダクションが、@音事協に加盟している場合、A音事協に加盟していないが、CPRA(実演家著作隣接権センター)には加盟している場合、B上記いずれにも該当しない場合で、許諾までの流れが異なっている。テレビ局側にとっては、許諾を取りたいタレント全てについて、上記3つのどれに該当するか調査する必要があり、手続きの煩雑さを増す要因となっていた。新機構はこのうち、@、Aの共通窓口の役割を果たし、二次利用の依頼者の手続き負担を軽減する(図表参照)。また、出演者の所属事務所の確認が取れない場合、許諾の申請先が分からず、二次利用ができないことになるが、現在審議中の著作権法改正案では、作家や作詞・作曲家らを対象にしている「裁定制度」がテレビ番組の二次利用などにも拡大される。「裁定制度」とは、不明権利者について、依頼者側が十分な探索を行ったことを条件に、国に補償金を供託することによって、著作権者の代わりに国が許諾を行うというもの。この「新・裁定制度」に沿った「不明権利者の探索・通知」についても新機構がサポートする予定。今回の新機構設立で、映像コンテンツの二次利用が促進されるという期待を持つ声は多い。

背景に権利者不在の“フェアユース”論に対する警鐘

 さて、著作隣接権の権利者側が二次利用に対して、このような踏み込んだ動きを見せ始めた理由とは一体なんであろうか。もちろん、インターネットの発達に伴う、二次利用へのニーズの高まりは大前提として存在する。しかし、新機構の旗振り役の一人である椎名和夫氏(CPRA 運営委員)によれば、現在、産・政・官・学で議論されている “日本版フェアユース”や“ネット権”などの議論に対する危機感が存在するという。

 「現在のフェアユースやネット権の議論においては、とかく出演者の権利を制限する方向に話が進みがちですが、権利者が当然の対価を得ることなくしてコンテンツの繁栄はありえません。著作隣接権に関して、現在は依頼に対して「NO」といえる「許諾権」が付与されていますが、これが事後的にその対価を請求できる「報酬請求権」に変えるべきだという議論があります。しかし、芸能プロダクションにとって、所属タレントの露出量をコントロールすることは、生命線。「NO」と言うことの出来る権利が保証されなければ、ビジネスが成り立ちません。今回の新機構の設立は、そんなプロダクション事業独特の性質を踏まえた上で、実演家の権利を守りながら、時代の流れに答えていくという試みです」(椎名氏)

 映像コンテンツの二次利用に関しては、まずそのビジネスモデルを確立することが大切、と椎名氏は強調する。近年、テレビ局の動画配信サイトがアクセス数を増やし、収益モデルの確立にむけた取り組みもさかんだ。

 「例えば、このようなサイトがビジネスモデルを確立する上で障害となる、ネット上の違法動画をいったいどうするのか、といった問題も併せて考えなければビジネスモデルは成立しません。“儲からないから、原価を値引きさせよう”という発想ではなく、どうしたら、コンテンツに関わる全ての人間が幸福になれるか、考えていく必要があるのではないでしょうか」(椎名氏)

権利処理機構
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(ORICON BiZ6月1日号より抜粋)

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