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(2010/11/05)

人情からグルメ、経済まで…。映画、文庫、コミックで進化する歴史もの

文庫、コミック、映画も大河ブーム
しかしジャンルは多彩に

 10/18付のBOOKランキングをみると、歴史をテーマにした作品が多くランクインしている。しかしこれまでの歴史ブームとは少々違い、ただ当時の時代背景や歴史上の人物を描くものだけではなく、歴史というテーマに、もうひとつ別のテーマを加えてミックスさせ、物語を派生させた作品が多い。

 とくに分かりやすいのはコミックだ。たとえばコミック部門の11位『スーパージャンプ』(集英社)連載中の『JIN−仁−』は、ドラマ化され大ブレイクした作品だ。幕末の日本にタイムスリップした脳外科医が、外科手術やコレラ大流行に立ち向かい、江戸の人々を驚かせる内容。勝海舟、坂本龍馬など、おなじみの人物が登場しつつも、医療ものとしても楽しめる。また15位の『ちょっと江戸まで』は、『LaLa』(白泉社)で連載中の作品。江戸時代が405年も続くという設定。そのため江戸と今の平成の時代の文化が混在しており、江戸時代の袴姿でフレンチやアイスを食べたりする。髪型も全員がちょんまげというわけではなく、茶髪で今どきの格好をした登場人物もいる。江戸のコテコテな文化が現代風にアレンジされているようで、新鮮な楽しみ方がある。また映画化され話題になっている83位『大奥』(『メロディ』(白泉社)は、“男女逆転”という、奇想天外なテーマをミックスさせた内容だ。

 一方、小説ではコミックに比べると、奇抜な物語は少ない。しかしこれまでとは違った視点で描かれた作品が増えているようだ。

 たとえば文庫部門の8位と9位に上下巻がランクインした『のぼうの城』(小学館)。でくのぼうという意味で“のぼう様”と呼ばれながらも人々に親しまれた成田長親の実話の物語だ。しかも彼は、秀吉の軍勢が唯一落とせなかったと言われている城の城主。そんな不思議な存在である成田は、これまでの頼もしい武将たちとは違い、どこか親しみが持てる。今まで戦国武将を扱った作風とは一味違う。

 時代ものといえば名前が挙がる山本一力が今年10月に発売した『たすけ鍼』(朝日新聞出版)は、江戸で鍼灸師を営む名手と呼ばれる男が、人々の心身を癒し、世直しに翻弄する物語。33位の『雷桜』(角川グループパブリッシング)は、江戸時代の身分が違う2人の恋愛を描いた内容。映画では「日本版、ロミオとジュリエット」と紹介されている。今回はランキング外だが、江戸時代の武士が現代にタイムスリップして、人気パティシエになってしまう『ちょんまげぷりん』もあった。

 映画はこのところ時代劇ブームだが、その中にあって12月4日に公開される『武士の家計簿』は、江戸時代の経済や金銭感覚にフォーカスした内容。今クールのドラマでは“金”をテーマにした作品が多いが、その感覚を江戸時代に持ち込んだかたちか。


老若男女問わず歴史を求め、
ニーズが多様化

 これまでの歴史ものは、主に男性が支えてきた。サラリーマンや企業の社長は、歴史上の人物に自分の理想を重ね合わせたり、よりどころを求めたりする。その後、近年の歴史ブームで、歴史に興味を持つ“歴女”と呼ばれる女性が増えた。そうして、今までの歴史ものにあった、戦略や人情といった要素のほかに、センスの良さやカッコよさ、華やかさなども求められるようになった。とくに江戸時代は、文化が花開いた時代。ファッションやグルメ、エンターテインメントなどの要素も多い。そんな江戸時代と、医療やグルメ、経済、恋愛などのライフスタイルをミックスすることで、より想像力を掻き立てられるのだろう。

 女性という新規読者を獲得し、ニーズは多様化している。今後もしばらく、ユニークな内容の時代ものが登場するだろう。

TOP100入りした歴史が舞台の主なコミック一覧

『ちょっと江戸まで4』
『ちょっと江戸まで4』
津田雅美・著
10年10月発売
420円(税込)
白泉社・刊

 

『のぼうの城 上』
『のぼうの城 上』
和田竜・著
10年10月発売
480円(税込)
小学館・刊


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