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(2009/04/13)

転換期を迎えた映画興行
「冬の時代」脱却に向けたミニシアターの戦略

 映画人口が伸び悩み、「3-D映画」やスクリーンのデジタル化への迅速な対応を迫られるなど、全国の映画館は今、かつてないほどにさまざまな課題に直面している。そんな映画興行シーンの最前線を多角的にレポートしていくシリーズ特集の第1回目は、ミニシアターの現状をクローズアップ。年々厳しさを増すビジネス環境のなかで、活路を見出すための施策について検証した。

シネコンの台頭によって「個性」を失いつつあるミニシアターの現状

 1974年2月に岩波ホールが開館して始まったミニシアターの歴史は、80年代以降、シネマスクエアとうきゅうやユーロスペース、Bunkamuraル・シネマなど、多様な個性の劇場を次々と輩出し、映画産業に大きな役割を果たしてきたが、現在、岐路に立たされている。

 その理由として、興行的な側面からいえば、急速に台頭してきたシネマコンプレックス(シネコン)の存在がある(別掲のデータ参照)。複数のスクリーンを擁するシネコンが、シネコン同士の競争のなかで、これまでミニシアター系が公開してきた個性の強い作品、作家性に富んだ作品を手がけるケースが増えてきたのだ。“映画のデパート”を目指すシネコンにとっては当然の帰結だが、上映する作品の個性をセールスポイントにしてきたミニシアターにとっては、自分たちの存在意義を危うくするかたちになってしまった。これまでの、チェーン系/単館系といった棲み分けがもはや崩れ去ってきていると言っていい。

 さらに、作品自体の値段の高騰もミニシアターに影を落とす。単館上映によって個性を打ち出すスタイルは、作品の値段の高騰によってもはや成立しにくくなっている。権利を買った配給会社にとってみれば、単館では回収できない金額であれば、あえてチェーン展開を選択せざるを得ない。近年、東京などでは、地域が重ならないかたちで、ミニシアターのチェーンを組む作品が増加している。

 こうした現象は、実はDVDのセールスの落ち込みと無縁ではない。ミニシアターで公開される作品はDVDの販売量は多くはないが、それでも以前は作品の権利を入手する際のサポートをDVDメーカーが果たしていた。しかし現在ではメーカーにその余裕がなくなり、サポートを失った映画会社は必然的にミニシアター向けの作品を手控えるようになってきている。そうした日本のバイヤーたちの傾向に対して、海外のセラー側も危機感を募らせ、作品の価格高騰がいずれは収まるという観測もあるが、内容的にも興行的にも価値の高い作品にはバイヤーの注目が集まるから、一概に価格が下がるとは言い切れない。

 観客の意識の変化も見過ごすことができない。ミニシアターを支持する映画ファンの絶対数が減りつつある。映画を単に娯楽のひとつと考える、ライトな若者層が映画人口の大半を占めるなか、団塊の世代を中心としたシニア層など新たな観客層に対するアプローチが急務である。

 時にはチェーンを組みつつも、独自性を失わずに新たな発見をもたらす作品の上映に賭ける。すべてのミニシアターがそうした姿勢でいることは疑いないが、特集上映や刺激的なプログラム、ジャンルの開発、そして一層のサービス向上などによって、活路を見出す可能性はまだまだ残されているはずだ。

全国のスクリーン数およびシネコンが占める割合の推移

(取材・文/稲田隆紀)

(ORICON BiZ4月6日号より抜粋)

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