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(2009/12/21)

「3D元年」、その成果と課題

「音」「色」に続く映画界における“第三の革命”と称される3D映画。観客動員拡大の切り札として、旗振り役のアメリカ映画界ではいち早く推進され、成果を収めているが、日本でも09年に入って上映作品数が飛躍的に増えるとともに、対応スクリーン数も緩やかながら着実に増加中だ。“3D元年”と呼ばれた09年の日本における3D映画興行の成果と課題を踏まえながら、大ブレイクに向けた今後の展望について検証した。

■“飛び出す”ギミックではなく“奥行き”のある映像世界の追求

“3D映画元年”と呼ばれた09年もいよいよ終わりに近づき、アニメーションでは『カールじいさんの空飛ぶ家』、実写では『アバター』の正月映画興行をもって、その成果が問われることになった。ジェフリー・カッツェンバーグやジェームズ・キャメロン、スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ゼメキスをはじめとする名だたるハリウッド映画人が、劇場離れしつつある映画人口を取り戻すための最良の手段として3Dに着目するようになって以来、アメリカでは新技術の開発、劇場のインフラ整備とともに、その動きが加速。10年以降に公開される予定の3D作品の数も激増している。

 もっとも、3D映画という発想自体は決して新しいものではない。これまでに何度もブームを期待されながら定着せずに終わった経緯がある。最初の登場は、50年代初めのこと。アメリカ映画界が、家庭に普及したテレビの対抗手段として華々しく送り出したのだ。『ブワナの悪魔』や『肉の蝋人形』(ともに日本公開は53年)などが話題となったが、“飛び出す”ことに力を注ぐあまり内容的に安易な作品が続出。何より「目が疲れる」ことがネックとなり、短期間で観客から敬遠されるようになった。

 ただ、3D映画は60年代や70年代にまったくつくられなかったわけではない。“飛び出す”特性は衝撃を求めるホラーやポルノ作品となじみがよく、散発的に作品が発表されては話題を集めていた。アメリカ映画界が再び3D方式に注目したのは80年代のことだ。ロサンゼルスのケーブルテレビが3D映画放映で話題になったことに便乗するかのように、ヒットシリーズの“第3弾”を3Dで送り出すことがブームとなった。『13日の金曜PART3』(83年公開)や『ジョーズ3』(84年公開)などが製作されたが、大きな波は来なかった。

 こうした流れを経て、現在の3D映画台頭となるわけだが、デジタル技術の格段の進歩とあいまって、状況は大きく変わってきている。何よりも立体映像による目の疲労が軽減されたことが大きい。さらに製作する側の発想として、“飛び出す”ことよりも、“奥行き”のある映像世界を観客に見せることに力点が置かれるようになった。

■3D映画を「3D映画として」アピールできないジレンマ

 こうした考え方はCGアニメーションの普及が作用している。コンピュータによってつくられる映像は立体としてプログラムされるため、2Dから3D化への変換が容易という側面がある。実際、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(06年より毎年、ハロウィンの季節に3D版が上映)や『トイ・ストーリー』(10年7月の最新作公開を前に、シリーズ1作目と2作目の3D版が公開予定)をはじめ、認知度の高い名作を3D化する試みも定着してきている。

 翻って日本はどうかというと、アメリカ映画界の3D攻勢に比べると、現時点ではいまひとつ盛り上がりを欠いている印象である。“3D元年”の掛け声とともに劇場がインフラを整えつつあるが、対応スクリーンの絶対数はまだまだ不足しており、日本全域をカバーしきれていないのが現状だ。

 この状況のなかで、作品を送り出す配給会社としては、ヒットを狙うとなると、3D作品であることを強くアピールしにくい。アピールすることで(子ども向けにつくられた単なる)“アトラクション映画”と受けとめられても困るし、3D設備の整った劇場だけで勝負するにはリスクが高すぎる。勢い、「3D上映もあり」というかたちのアピールにとどまることになり、一般の観客に3Dの魅力を広く認知させにくいジレンマがあった。当初は『モンスターVSエイリアン』や『ボルト』『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』が公開される夏に、映画界としては3Dブームを到来させる算段だったが、実際はこの正月にずれ込むかたちとなっている。

 この正月戦線に向けて、劇場サイドは3D対応スクリーン数を300近くまで増やし、料金体系を大幅に改定するなどしてアピールに務めている。作品も映画ファンが待望しているピクサー初の3Dアニメーション『カールじいさんの空飛ぶ家』に、大ヒット作『タイタニック』を生み出したジェームズ・キャメロンが12年ぶりに監督した『アバター』と粒が揃っている。とりわけ『アバター』は話題性からいっても今後の3D映画の命運を握る。洋画再興のためにもヒットを願わずにいられない。

アバター
3D映画の命運を握る超大作『アバター』は12月23日より公開
c2009 TWENTIETH CENTURY FOX


3D映画表組

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