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(2009/10/23)

相次ぐ映像化で「山崎豊子ワールド」がエンタメ市場を席巻

 多くのベストセラー作家のなかでも、綿密で緻密な取材に裏打ちされたストーリーと卓抜した構成力によって、山崎豊子は圧倒的な人気を誇っている。『白い巨塔』や『華麗なる一族』『大地の子』をはじめ、代表作のほとんどが映像化されていることからも人気が窺われる。骨太なストーリーに散りばめられる、熱い人間の葛藤はまことに映像化に適している。

 唯一、例外となっていたのが95年に刊行された『沈まぬ太陽』だ。文庫本を併せて700万部を超える売上を示した大ベストセラーながら、題材の生々しさ、ストーリーのスケールの大きさが災いして、映画化がたびたび浮上したもののこれまで実現することがなかった。

文庫「沈まぬ太陽」全5巻の売上&ランキング推移

 原作者本人が映画化を熱望するなか、10年余の歳月を経て角川映画が製作を開始、この10月に公開されることになった。文庫にして全5冊という膨大な量の原作を映像化するため、上映時間3時間22分、途中にインターミッションが10分間入る、文字通りの超大作となっている。

 ナショナル・フラッグ・キャリア=国民航空に勤めるふたりの男の対照的な軌跡を描き、右肩上がりに経済大国になっていく昭和の実相が浮かび上がってくる。会社の業務改善を訴えたばかりに海外の僻地勤務という懲罰人事を受け続ける主人公、恩地。その友人で上昇志向に突き動かされて社内で暗躍し階段を昇りつめる行天。ふたりの男の葛藤の日々が、御巣鷹山の事故をきっかけに反転していく。 脚色を担当した西岡琢也は企業ドラマ『陽はまた昇る』で才をみせたが、ここでも膨大な原作のエッセンスを抽出し、航空業務を改善したいと願う恩地の生き様をくっきりと紡ぎだす。冒頭から未曾有の事故を登場させ、恩地の軌跡を導き出す構成で、見るものを一気に引き込む。

 西岡の脚本を得て、映像化に挑んだのは若松節朗。テレビドラマの演出で実力を培い、劇場用映画では『ホワイトアウト』をヒットさせた匠が、ここでは恩地の赴任先となるパキスタン・カラチ、イラン・テヘラン、ケニア・ナイロビなどにロケーションを敢行。各地の息遣いを映像で切り取りながら、主人公の苦闘を綴っている。航空会社内の勢力争いから官界、政界との癒着、さらには日本を揺るがすスキャンダルまでが織り込まれる。映画化に難航したのも納得できる生臭い題材が登場するが、若松監督はスピーディな語り口で、状況に翻弄され続けるひとりの男のドラマとして結実させている。

 何よりの話題は主人公・恩地を渡辺謙が演じることだろう。原作に魅了され、山崎豊子に直々アプローチしたという渡辺が、仕事に全精力を傾けながら、家族に対する想いも人一倍の男を熱演している。対する行天役には三浦友和。これまでとは打って変わって、出世のためなら人を利用することも厭わないキャラクターを見事に演じきる。共演も松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、香川照之などなど、オールスターキャストが組まれている。

 この作品の他、フジテレビでは『不毛地帯』を、『白い巨塔』で成功した唐沢寿明主演で製作。10月15日から放送が開始された。“山崎豊子世界”は、再び盛り上がりそうだ。

沈まぬ太陽
『沈まぬ太陽』
公開:10月24日 配給:東宝
(c)2009「沈まぬ太陽」製作委員会

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