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(2009/09/08)

「ニッチ」から「マス」へ、ハリウッドの荒波を遊泳する“Ponyo”
『崖の上のポニョ』全米ヒットの舞台裏

 昨年の日本映画界最大のヒット作であり、今夏発売されたDVDの売上も好調な『崖の上のポニョ』が8月14日より全米公開され、好評を博している。 “Ponyo”はいかにしてアメリカ人のハートをつかんだのか。全米ヒットの理由を現地よりレポートする。

 劇場を埋めるおしゃれなカップルや親子連れ、米版にアレンジされたアップビートな主題歌にリズムを刻む子どもたち。夏の超大作がひしめく米映画界において、8月14日に封切られた『崖の上のポニョ』(英題:“Ponyo”)が、公開週末の興行で358万ドルを稼ぎ、9位につける好成績をあげた。

 一般客のレビューが連なる大手インターネット映画サイトでは、約9割が「必見」にマーク。「想像力に溢れ、美しい」「無邪気で愛くるしい」「愛と忠誠と尊敬の物語」と世界観に共感するコメントが並ぶ。評論家や映画通の歯に衣着せぬレビューで知られる映画評論サイトでも、評価は80〜90点と上々。「『ファインディング・ニモ』と『リトル・マーメイド』が合体し、新しい水中物語が誕生」「中身のないハリウッド大作が溢れる夏に、ひときわ輝く金字塔」といった賛辞も。一方で、宮崎駿アニメに精通している人々の中では、「『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を超えるものではない」とする意見も多いようだ。

米ディズニーの周到なプロモーション戦略が奏功

 どれほどの良作でも、観てもらわないことには口コミも期待できず、埋もれてしまう。映画大国アメリカで“ニッチ”の壁が越えられず、涙を飲んだ外国語映画は数知れず。その点において、今回は、米ディズニーによる圧倒的なプロモーション戦略が功を奏した。アートハウス系映画の登竜門「ロサンゼルス映画祭」にて外国語映画ファンにお披露目した後、ポップカルチャーの祭典「コミコン」にてアニメ&マンガファンを歓喜させ、映画芸術科学アカデミー共催の展覧会「ANIME! High Art」で宮崎アニメの芸術性を掘り下げることにより、洗練された映画人たちを納得させている。声優にアカデミー賞常連のケイト・ブランシェットや演技派マット・デイモンが名を連ねていることも、立派なクオリティ保証だ。

 最も力を発揮したのは、「日本アニメにも宮崎駿にもなじみがない」という一般層に向けてのアピール。今をときめく2大アイドルであるマイリー・サイラスの妹ノア・サイラスとジョナス・ブラザースの4男フランキー・ジョナスがともに声優を務め、数々のメディアに露出してはポニョの魅力や巨匠たちとの共演について語っており、注目度は一気に“マス”へと広がった。

 日本映画としては奇跡的な規模の927館で封切られた本作は、家族連れで賑わうモールや複合映画館をひと通り網羅しており、飛び込み客も獲得。DVDセールスも期待できるだろう。我らがポニョは、アメリカを代表するキープレイヤーたちに支えられ、ハリウッドの荒波をも優雅に愛くるしく乗り越えようとしている。

(取材・文・写真/町田雪)

ポニョ

『崖の上のポニョ』を上映中のLAのシネコン。
ブラッド・ピットやメリル・ストリープが主演する話題作のポスターが居並ぶなか、
ポニョの可愛いビジュアルが独特の存在感を醸し出している

(ORICON BiZ9月7日号より抜粋)

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