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(2017/02/13)

テレビ局の映画ビジネス、転換のカギは?

多角的な展開をみせた映画『デスノート Light up the NEW world』※DVD&Blu-rayは4月19日発売 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS


 日本映画製作者連盟は1月24日、16年の映画興行の統計データ「全国映画概況」を発表。現在の興行収入による集計となった2000年以降で最高となる2355億円を記録する好況となった。特に顕著だったのが、前年比123.5%となった邦画の活況だ。これまでは、地上波テレビ局がパートナーとして製作委員会に名を連ね、さまざまな番組内でのパブを展開して、公開に向けて一気に認知度を高めていく手法が目立っていたが、昨年の概況をみると“テレビ局の映画ビジネス”の変化が見て取れる。

■テレビ局主導の映画からの脱却

 過去最高益を記録した、昨年の映画興行。邦画では、興収235.6億円(※上映中)となった『君の名は。』や、『シン・ゴジラ』(興収82.5億円)、徐々に話題を広げていった『この世界の片隅に』などのヒット作が続々と登場し、邦画の好況をけん引した。

 従来、興収ランキングの上位を占める映画は、300スクリーン前後で公開されたものが多く、そのほとんどの作品は公開週をピークに興行成績を落としていくが、上記作品のように、それだけではない息の長い興行が目立つようになってきている。

 そもそも、300スクリーンの興行に耐える作品は、まず人気原作があり、原作ファンが映画の観客として見込めることが前提となる。そのため、これまでは地上波テレビ局が製作委員会に名を連ねるケースが多かったのだが、興収ランキング上位の作品を見ると、原作モノではあるものの、テレビ局が製作委員会に絡まない作品が増えているのだ。

 理由は、広告売上が落ち、本業へのテコ入れが課題のテレビ局が、以前のように多くの映画に出資することが叶わなくなっているからだろう。ただし、これまでの座組が実現しなくなったことが1つの契機となり、いわゆる“初動型”のヒットから、“積み上げ型”のヒットへと、新たな潮流が生まれつつあるとも言える。

■『デスノート』に見る、新たな映画ビジネスモデル

 かれこれ5年が過ぎる。12年の年間興行収入ランキング1位を『BRAVE HEARTS 海猿』が飾ったその年を境に、それ以降、テレビ局主導の幹事映画から50億円以上のヒット作品は生まれていない。

 2000年当初、シネコン建設ラッシュの勢いに乗り、番組広告収入以外の、いわゆる“放送外収入”の柱として映画ビジネスが飛躍的に伸びた。テレビシリーズから映画化という流れを作った『踊る大捜査線』の成功モデルをベースに、テレビ局が戦略的なプロモーションで邦画実写映画をリードしていた時代が続いた。その象徴ともいえるのがフジテレビの映画事業収入だ。12年度に歴代最高額となる136億5500万円を計上した。

 しかし、テレビ離れと言われ始めたあたりから、徐々に低迷し、2016年の結果は見ての通りである。アニメ映画の台頭により、実写の陰りを見せた16年の興行収入ランキングのなかで唯一、邦画実写映画でTOP10に食い込んだ『信長協奏曲』こそ健闘したものの、興収50億円には届かず。プロモーションのカギである地上波の視聴率低迷がフジテレビの映画ビジネスの伸び悩みの要因と言える。そろそろ、テレビから映画というかつての戦略から方向展開が求められる時期に来ているのだろう。

 そんななか、興収22億円を記録した『デスノート』に注目したい。ヒットと言える最低ラインの成績だが、多数のタイアップや動画配信「Hulu」でオリジナルドラマの配信など、多角的な展開があった映画作品である。これまでのモデルとの違いは、映画が主軸に置かれていないという点だ。映画を最終ゴールに盛り上げるこれまでのやり方とは異なり、『デスノート』という世界観を映画、地上波テレビ、動画配信、舞台、イベント、グッズなどさまざまなウィンドウで展開し、総合的に収支を図るモデルである。プロモーション重視に変わりはないが、放送外収入ビジネスのノウハウを活かした、テレビ局のプロデューサーが得意とするヒットの作り方なのかもしれない。

(文/長谷川朋子)

(コンフィデンス 17年2月13日号掲載)

2000年以降の年間興行収入、入場者数の推移
※日本映画製作者連盟発表「全国映画概況」より抜粋


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