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(2017/01/16)

伝統芸能とアニメを融合した舞台を上演、老舗劇場・明治座が挑むインバウンド向けナイトエンタメ

訪日外国人旅行客向けに、16年9月より上演中の「SAKURA -JAPAN INTHE BOX-」
明治座初の二次元キャラクター「SAKURA」と「四季の精」の物語がベースとなっている


 日本橋の老舗劇場・明治座が、昼公演終了後の夜間帯に、訪日客の取り込みを見越したエンタテインメントプログラムを打ち出している。日本舞踊やアニメを組み合わせ、最新の映像技術を採用、アプリと連動させるなど、初の試みが詰まった新感覚の舞台だ。


■観光客の滞留時間を伸ばし、日本橋地区全体の活性化に

 140年を超える伝統と格式を持つ明治座が、三井不動産、イープラスと協力し、新しいナイト・エンタテインメントとして訪日外国人旅行客向けの公演「SAKURA -JAPAN INTHE BOX-」を16年9月より上演中だ。第1フェーズの会期は17年3月までで、全93公演を予定している。

 この公演には、大きく2つの挑戦が含まれている。まず、2020年東京オリンピックを見据え、クールジャパンを意識した、日本の伝統芸能とアニメを融合させた舞台を、老舗劇場が企画したという点。もう1つは、今まで空白だった夜間の時間帯に新しいエンタテインメントを生み出した点だ。

 「私どものお客様は中高年が多く、昼の部が中心なので、劇場の稼働率を上げるために空いている夜の時間帯をどうにかできないかという議論は、以前から行っていました。一方で、東京には劇場レベルでのナイト・エンタテインメントがほとんどない。日本橋地区はインバウンドのお客様は増えていますが、滞留時間が長くない。そこで、昼間にお買い物、夜は劇場と、日本橋エリア全体に“楽しみ”が生まれる流れを作りたいと考えました」(明治座 赤俊哉氏)

 そこで企画されたのが、同公演だ。明治座初の二次元キャラクター「SAKURA」と「四季の精」の物語をベースとした、外国人観光客にもわかりやすいよう、言葉に頼らないノンバーバルな70分のエンタテインメントとなっており、こうした内容について赤氏は、「日本の伝統芸能とポップカルチャーの入口と位置づけられるショーを目指した」と続ける。

 「日本についての詳しい知識を持たない外国人観光客にとって、いきなり本格的な伝統芸能を楽しむには敷居が高い。また、アニメに興味があっても、秋葉原に行くほどは知らないという方も多い。そこで、それらの入門編として間口の広い内容とすることで、ここから歌舞伎や能に興味を持ったり、秋葉原に行きたくなる取っ掛かりにしたいと考えました。ですから、イメージは玉手箱。あえて“ごった煮”的に、いろんな日本が入った内容としました」

 さらに今回、もう1つの新たな取り組みとして、舞台連動型の専用アプリを開発。上演中にアプリを立ち上げておくと、外国人向けに多言語字幕でサポートするだけでなく、舞台と連動してスマートフォンやタブレットに映像が表示されるなど、観客に新しい体験を味あわせてくれる。こうした技術は、通常公演への応用も十分に考えられ、新しいエンタテインメントの切り口としても画期的だ。他にもIT技術の活用事例として、ロビーで劇場の歴史を解説したり、売店の商品を多言語でサポートしたりする試みも、今後実施されるそうだ。

 客層、演目内容、プロモーション方法など、すべてが明治座にとって新しいチャレンジとなるが、今回“0”から“1”を生み出したことで、拡大展開が予定されている第2フェーズ以降も、より進化したプログラムの企画/上演が期待される。加えて、高齢者の時間の過ごし方や趣向が変化していくなかで、老舗劇場がどう生き残り、変化していけるのかという観点でも、意欲的な挑戦を、今後も注視していきたい。

(文:布施雄一郎)

(コンフィデンス 17年1月16日号掲載)


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