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(2016/08/01)

VR元年 最新技術の今と未来

「Bjork Digital ―音楽のVR・18日間の実験」での体験の様子
(C)Santiago Felipe

昨年、「2015 MEDIA TECHNOLOGY!」で上演されたサカナクション『Aoi-碧- サカナクション』の模様


 360度のパノラマ映像や3DCG 空間を自在に楽しむVR(仮想現実)技術が身近になり、ビジネス化に向けた動きが世界で急速に進んでいる。

 背景として、「Oculus Rift」や「Vive」、「PlayStation VR」などの高機能なVR専用デバイスが一般向けに発売されたことや、スマートフォンでVRが楽しめる「Gear VR」などの簡易ビューアーがヒットし、それらを使ったVRエンタテインメントが増えていること、さらにはYouTubeやFacebookで360度映像が手軽に配信できるようになり、VRコンテンツが一気に身近になってきたことがある。

 制作も簡単になり、本格的なVRコンテンツを編集する「Unity」や「Unreal Engine」といったツールは無償で公開されており、ゲームプラットフォームの「Steam」に公開されているVRゲームは200を超える。パノラマ映像の制作はもっと簡単で、10万円を切る4K360度カメラが数多く登場し、ボタンを押すだけで360度動画を撮影し、オンラインにアップロードできるリコーの「シータ」は本体価格が4万円を切っている。

 こうしたハード面の充実化も後押しとなり、米ゴールドマン・サックスの調査によると、VR市場は2025年には最大1100億ドル(約11.5兆円)と、テレビやパソコンと同程度まで成長するという予測も出されている。全体の半数以上がゲームやライブイベント、ビデオエンタテインメントといったコンテンツの売上で占められており、海外ではすでにテレビ局やハリウッドが本格的にVRコンテンツの開発を進めている。

 現在、VRコンテンツは大きく分けて、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して空間内を移動したり、そこにあるものを動かしたりできる高性能タイプと、パノラマや立体映像をスマートフォンや簡易ビューアーを利用して楽しむ簡易タイプがある。前者は長年の試行錯誤でコンテンツのリアリティやインタラクション性が高められ、ようやく実用的になってきたといえる。それでも、いまだに体験できる場所が限られている。一方、簡易VRはそうした制限がなく、HMDの使用年齢制限もないことから、今後ますます幅広い世代でVRが受け入れられるようになると見られている。


■現在のVR 表現を4つに分類

 そうした状況に合わせてコンテンツのバリエーションも増えており、現在、VR表現は、大きく4つに分類できる。

●オンライン没入型
●リアル体感型
●ライブ中継型
●シミュレーション学習型

 オンライン没入型はスタンダードなVRで、HMDを装着したその場でコンテンツを楽しんだり、ゲームをプレイするというもの。基本的には身体を動かしたり、振動を感じることはない。GREEはスマートフォンユーザー向けにVRソーシャルゲームという新しいゲームジャンルを立ち上げており、専用の開発スタジオを昨年11月から運営している。VR内で買物ができるVRショッピングモールのように直接販売と結びつける動きもすでにあり、さまざまなビジネスとの連携が進んでいる。

 リアル体感型は、ジェットコースターやスキー、スカイダイビングなど、主にアクティビティをVRで体験するもので、映像と連動して振動する専用の椅子に座って楽しんだり、実際にカラダを動かして楽しむアトラクションを指す。ハウステンボスには日本初の常設型のVRアトラクション施設があり、今年4月にお台場に期間限定で開設された「VR ZONE Project i Can」では7つの体感型VRアトラクションが公開され、連日人気を集めている。

 ライブ中継型は、アーティストのコンサートやスポーツをVRで楽しむというもので、いつでもどこでも会場にいるような臨場感を味わうことができる。パブリックビューイングのように大勢で一緒に楽しむこともでき、TBSは1300人の観客を乗せて360度回転する巨大な円形の客席を設置する日本初のVRシアターを来春にオープンすると発表している。

 シミュレーション学習型は、手術室や工場などの現場でVRを使って複雑な作業などをサポートするもの。現実空間とVRを重ね合わせて投影できるAR(拡張現実)が使われることも多く、VR用HMDではなく、視界が確保できるウェアラブルグラスが使用される。マイクロソフトはARでバーチャルにソフトウェアを操作したり、CG映像が作成できる「Holo Lens」というHMDを開発しており、新しくMR(複合現実)という用語を提案している。


■テレビや音楽もVRに対応

 VR技術そのものは1990年代に登場しており、話題になってはヒットせずに終わるということを何度も繰り返しているが、今度こそ本格的に普及すると言われる理由がいくつかある。1つはテレビとの融合で、米NBCはリオデジャネイロオリンピックでVR中継を85時間以上行うと発表している。サムスンの「Gear VR」でしか観られないなど、制限はあるものの、オリンピックをまるで会場にいるかのように360度自在な方向から観られるという経験は、視聴者にとって大きなインパクトになりうる。360度のライブストリーミング中継や放送は技術的にはそれほど難しくなくなっており、フジテレビオンデマンドでは360度方向へ視界が自在に動かせる番組を実験的に公開し始めている。

 もう1つはコンサートやライブとの融合である。プロモーションビデオにVRを採用するアーティストが増えており、最近ではビョークが日本科学未来館でVRを使ったコンテンツを複数公開して話題になった。

 ヘッドホンを使わずに最大11.1チャンネルのサラウンド音質を再現できる技術も登場するなど、映像だけでなく音源も360度に対応できるようになったことから、今後採用するアーティストがさらに増えると見込まれている。

(コンフィデンス 16年8月1日号掲載)


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