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(2015/11/02)

高知から全国へ “ランパス”人気から探る地方創生のカギ

500円でランチが利用できるクーポン機能付きムック『ランチパスポート』。41都道府県で80以上の種類が発行されている地方発コンテンツの大ヒット作だ(写真は公式サイト)
8月に発売された「高知中部版」は、第14弾となる


 地方発コンテンツの一大ヒットとなったムック『ランチパスポート』。仕掛けたのは高知のタウン誌『ほっとこうち』編集部だった。企画内容・誌面構成はフォーマット化され、今や、41都道府県で80以上の種類が発行されている。一見、エンタテインメントは無縁のジャンルではあるが、ヒットの背景を探っていくと重要なヒントも見えてくる。


■発端はタウン情報誌『ほっとこうち』の特集企画

 ランチメニューを500円で食べることが可能になる、クーポン機能を持ったムック『ランチパスポート』は、現在41都道府県で80以上の種類が発行されている地方発コンテンツの大ヒット作だ。発端は高知のタウン情報誌『ほっとこうち』における、同機能を持つ特集企画。当時からこの企画に携わる、ほっとこうち企画開発部・東京営業所所長の山本真志氏にヒットの背景を聞いた。

「集客のためのアイデアを、という地元・高知のお店側からのオーダーから生まれた特集企画ですが、すぐに予想を大きく上回る反応がありました。最初はよりパスポートらしく“有効期間半年で74店舗をめぐる旅を”という体裁で、スタンプラリー的な楽しみもプラスして一冊にまとめました。最初の1万部は数日で完売、増刷分も同様。地方出版にとっては異例のヒットでした」

 成功事例として、全国のタウン情報を集約する組織=タウン情報全国ネットワークで発表するも、他エリアからの反応は薄い。そこで氏らが中心となり、商標登録やデザインの完全フォーマット化、事業展開ノウハウまでを一括パッケージングした“商品化”を進めた。

「タウン情報誌『まつやま』を発行するSPCさんと業務提携後、密に協力しながら、ブラッシュアップして、現在のフォーマットになっています。地元で印刷や出版業を営むなど、もともとノウハウや情報を持っている事業者さんの参加が多いのですが、ブログを書くようにクラウド上の所定の位置にテキストや写真を置いていくSPC開発の自動組版システムを使っていますので、実際には特別なスキルは必要なく、可能な限り自動化されています」(山本氏)

 掲載料は無料。そのかわり単価にして数百円(平均20〜30%程度)のランチ価格サービスを行う。客側の負担は書籍代1000円程度であり、数回の利用で簡単に元は取れる。

「参加していないお店などから、わが町のランチの平均単価を下げるな、という声も当然ありました。不思議なもので、この行列の何割かは本来ウチに来るはずだった、という意識になるんですね。でも実際には、その周辺にランチ目当てで来る人数自体が激増しているわけです。参加しているお店にとっては、ランチ以外の時間帯への集客プロモーションになりますし、様々な事情で参加できないお店にも、エリア自体の活性化という点では、メリットがある仕組みです。こうした理解が町全体に徐々に広がったことも、全国展開に繋がっていると思います」(山本氏)


■この事業を通じて生まれたネットワークこそが最大の収穫

 類似サービスの出現や、大手(食べログなど)の参入などで、ランチタイムをめぐる動きは近年、にわかに活発化している。

「『ランチパスポート』の最大の強みは、働く誰もが日常的に行わざるを得ない“ランチ”そのものに特化したことだと考えています。もちろん、フォーマットとしては非常に使い勝手の良いモノですから、例えばラーメンに特化したムックや、スイーツに特化したムック、逆にランチに限らずその地方の食を集めるといった企画も並行して行っています。一方ではゴルフ場バージョンなどにも取り組んでいます。東京にしろ、地方にしろ、うまくその魅力を発信できずに埋もれているコンテンツはまだまだたくさんあります」(山本氏)

 山本氏によると、すでに次の展開に向けた準備も始まっているという。

「『ランチパスポート』が1つの事業として広がったことで、新しい情報発信ネットワークも構築できつつあります。実はこのネットワークこそが最大の収穫だと考えています。当 初こそ『ランチパスポート』を全国へ広げていくことを目標に取り組んでいましたが、その間、成功と失敗を繰り返すなかで、これを持続可能な事業にするには、『ランチパスポート』をヒットさせ続けることではなく、『ランチパスポート』を通じて生まれた“ネットワーク”を維持させることに注意を払うことがもっとも大事なのだと考えるようになりました。今後、このネットワークに、何をどう乗せていくのかもテーマとして考えていきます」(山本氏)

 地方に眠る潜在力を掘り起こす仕組みは、いわゆるエンタメ業界にとっても学ぶべき点は多そうだ。

(コンフィデンス 15年10月26日号掲載)


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