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(2014/09/29)

急速に市場を拡大する「2.5次元ミュージカル」


03年に初演した人気ミュージカル「ミュージカル『テニスの王子様』」(C)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト/(C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

 2次元で描かれた漫画・アニメ・ゲームなどの世界を、舞台コンテンツとしてショー化した「2.5次元ミュージカル」。右肩上がりに公演数・動員数を伸ばし、国内ではすでに固有のジャンルとして定着。新しいマーケットとして注目されている。


■2次元コンテンツを原作に新たなマーケットを確立

 15年3月中旬より、東京・渋谷のアイアシアタートーキョーが「2.5次元ミュージカル」の専用劇場として1年間、さまざまなプログラムを連日上演することが発表された。

 国内外から数多くの観光客が訪れる渋谷の街に常設劇場がオープンするとあって、今後さらなる注目を集めるであろう「2.5次元ミュージカル」という用語。これは、漫画やアニメなどの2次元の世界を原作とした舞台コンテンツを総称したもので、宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』の初演が74年だったことを鑑みると、その歴史は長い。

 しかしその文化が、現在に繋がる礎を築いたのは90年代のこと。93年初演の「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』」(以下『セラミュー』)が大ヒットすると、その後は続々と漫画・アニメ原作のミュージカルが制作。なかでも03年初演の「ミュージカル『テニスの王子様』」(以下『テニミュ』)の人気は凄まじく、「2.5次元ミュージカル」ブームの火付け役となった。

 漫画・アニメを切り口としたことで、“ミュージカル=敷居が高い”というイメージを払拭し、一般層の呼び込みに成功したことは、演劇界への大きな功績となった。またミュージカルナンバーのCDなど、関連グッズも大きなビジネスとなっている。

 舞台化されるコンテンツの増加で、今や「2.5次元ミュージカル」は固有のジャンルとして定着した。また、日本のアニメファンは世界中に存在するだけに、海外から訪れる観劇者が多いのも、「2.5次元ミュージカル」の特筆すべきポイントだ。


■世界標準ミュージカルへの発展を目的に協会が発足

 今年3月には、「2.5次元ミュージカル」のさらなる発展を目的として「日本2.5次元ミュージカル協会」が発足。代表理事は数多くのヒットミュージカルを手がけたネルケプランニング代表取締役の松田誠氏が務めている。同協会が目指すのは、日本発祥の舞台コンテンツである「2.5次元ミュージカル」を、世界標準ミュージカルへと成長させること。

「2.5次元ミュージカル」に足を運ぶ海外ファンが多いことは前述の通りで、各国から招聘公演を望む声も多い。しかし、海外公演が実現したコンテンツは『テニミュ』の台湾(08年、09年)、韓国(08年)公演のみ。いかにラブコールが多くとも、「海外で勝負に出るには、やはり1社では限界があるんです」と松田氏は振り返り、協会の構想に繋がったことを語った。

 賛同する協会員はアニメ、ステージ関連を中心に続々と増え、在京テレビ局や観光会社なども名を連ねている。まさにオールジャパンで世界に打って出る意向だ。この夏には、米・ロサンゼルスで開催された「Anime Expo 2014」など、3ヶ国のコンベンションに協会として参加し、「2.5次元ミュージカル」の魅力を紹介してきた。そして来年1月には『セラミュー』の上海公演が決定。7〜8月には「ミュージカル『DEATH NOTE』」の韓国キャストによる韓国公演が行われる。15年はまさに、「2.5次元ミュージカル」の世界進出元年となりそうだ。


■原作の価値を守りながらビジネス拡大に繋げる

 人気コンテンツの世界進出によって、今後はさらに各国から招聘を望む声も増えるだろう。同協会では招聘公演のサポートや、海外からの問い合わせ窓口なども担っている。しかし最も推し進めたいのは、「グランドライツのフルパッケージ」で世界の演劇界に売り込むことだという。グランドライツとは、現地で“調達”するのはスタッフと役者だけで、台本や楽曲はもちろん、衣装や照明プラン、振付、舞台演出など一式で販売する方法のこと。

 そもそも「2.5次元ミュージカル」がこれだけの人気を博しているのは、原作を忠実に再現しているからだ。他国に受け渡すことでクオリティや世界観が損なわれたら、原作の価値まで下がってしまう恐れもある。グランドライツは、原作を尊重しながらビジネスにすることができる、「2.5次元ミュージカル」の世界進出には最適な方法だという。

「ブロードウェイのミュージカルは、毎日、世界中のどこかで上演されています。つまり権利の保有者には、日々ロイヤリティが入ってきます。2.5次元ミュージカルの原作である漫画やアニメは、今や世界中の若者の心を掴んでいます。ということは、ブロードウェイの原作に匹敵するビジネスの可能性があるんです」(松田氏)

 このように協会では海外展開を推進する一方で、制作ノウハウの共有や勉強会などを実施して、シーン全体のクオリティの向上とともに、国内市場のさらなる発展も目指す。また国内外の公演情報を定期的に発信するメールマガジン「2.5フレンズ」を発行することで、各コンテンツや原作のファンだけでなく、2.5次元ミュージカルというジャンルのファンを増やしていくことにも努めている。「2.5次元ミュージカル専用劇場」もまた、ジャンルそのもののファンを拡大する拠点となるだろう。

 日本のアニメは世界中で愛されている。しかし、ネット視聴の定着で、ビジネスに結びつきにくくなっているのも事実としてある。だが、ステージの生の迫力はネットでは体感できない。「2.5次元ミュージカル」の動員は右肩上がりで、2013年の総動員数は延べ160万人超。ライブ・エンタテインメントの新たなマーケットとして、ますます伸びていくことが期待される。

(ORIGINAL CONFIDENCE 14年9月29日号掲載)


「2.5次元ミュージカル」これまでの公演本数と動員数
※一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会パンフレットより

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