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(2014/09/22)

音楽ファンが注目するセットリスト情報サービス


PCサイト、iPhone/Androidアプリを展開する、ライブ・セットリスト情報サービス「LiveFans」。セットリストの情報はユーザー投稿が中心。男女比は4:6。10代〜20代の音楽ファンを中心に認知が広がっている

アプリ版の画面

 ライブのセットリストを集めて公開している「LiveFans」。ユーザー投稿、またはオフィシャル提供されたセットリストは10万件を突破。14年8月現在の月間アクセス数は約450万PV、月間ユニーク訪問者数は約25万人(推測値)と認知が拡大している。


■データベースとして豊富なセットリストを集積

 PCサイトとスマホアプリで展開されているライブ情報サービス「LiveFans」に登録されているセットリスト数が、8月6日付で10万件を突破した。

 音技の杜(おとぎのもり)が提供する同サービスは、11年4月に運用を開始。当初は、ライブのセットリストをユーザーに投稿してもらって集積する「セットリストのデータベース」としての機能がメインだった。その後、徐々に機能を充実させて、12年9月にアプリをリリースするとともにサービスの本格運用をスタート。現在では音楽ファンを中心に高い支持を得ている。

「LiveFansを始める1年ほど前から“個人ブログやTwitterでセットリストを公開している人が増えている”ことに当社の社員が気付きました。ただ個人が公開しているものだと、特定のアーティストのファン同士しか集まりません。情報が散らばってしまうより、データベースとしてまとまっていれば、音楽ファンも喜ぶだろうというのが、発想の原点でした」(音技の杜 代表取締役社長 渡辺泰光氏/以下同)

 最初の段階ではアーティストサイドからのクレームを懸念していた。しかしフタを開けてみたら、好意的な声がほとんどだったという。

「ライブに行きたくても行けない人は意外に多いんです。そんな人がセットリストを見てライブの雰囲気を味わうことで、ライブに足を運ぶモチベーションに繋げられれば、ライブシーンそのものがさらに盛り上がるのではないか。そうした意見を事務所さんやアーティストさんにお話ししたら、多くの方々が賛同してくれました」

 ユーザー投稿だけでなく、公式にセットリスト情報を提供するアーティストも増加している。アーティストとユーザーの双方が安心・信頼して利用できるサービスとして認知が広まっているのだ。


■音源の購入意欲を掻き立てるセットリスト再生機能

 音技の杜は87年創業のテクノロジー会社のエイムが親会社。エイムは、エンタメではなく高度な技術力を武器とした「堅い仕事」がメインだった。音楽事業に参入したのは、両社代表の渡辺氏が大の音楽ファンだったからだ。最初の音楽事業はアメリカのグレースノート社が開発したCD認識サービス「CDDB」(音楽CDに収録された楽曲に関する情報(タイトル、曲名、演奏者など)を集めたデータベース)の日本初導入で、渡辺氏はグレースノートの日本法人の取締役も務めている。そうした企業背景からも、技術力の高さは折り紙付き。LiveFansもユーザー目線に立った機能を充実させるとともに、アーティストへの配慮も細やかに行っている。

「例えばツアー中のセットリストはネタバレ防止のために非表示になっていて、クリックしないと見ることができません。オフィシャルに提供していただいているアーティストの場合、希望があればツアー中はユーザーがセットリストを書き込めない仕組みにもできます」

 ちなみにユーザー投稿に任せていると、セットリスト内容の相違も心配されるところだが──。

「セットリストはCDなどと違って完璧なソースがないので、曲順に関してはユーザーを信頼するしかありません。ただ間違いがあった場合は、ユーザー同士で上書きして徐々に正解に近づけてくれています。なお曲名を省略していたり、スペルミスがあったりする場合は、こちらでキチンと修正しています」

 LiveFansアプリの機能で特に好評なのが、携帯端末内の楽曲を自動的にセットリスト順に並べ替える再生プレイヤーだ。この機能がTwitterなどで大きな話題となったことから、一躍人気アプリの仲間入りをする。なおセットリストへ登録された楽曲には、それぞれ配信サイトやCD販売サイトにリンクが貼られている。

「ライブには行くけれど音源はあまり買わないという人も増えています。でも、セットリスト通りに聴いてライブの余韻に浸ろうというときに、持っていない曲があって、セットリストに穴があったら気になりますよね。そういう意味では、多少なりとも音源の購入動機に貢献できているのではと思っています」


■サービスを支える技術力と音楽ファン精神

 現在までのところ、アーティストサイドとの関わりは「LiveFansを盛り上げるのに協力して下さい」と同社から声をかける形がメイン。そうした周知活動を通して、現在は石崎ひゅーいと、ザ・チャレンジを「LiveFansの推しアーティスト」として全面プッシュしている。

「チケットが即完するくらいの大物アーティストの場合、LiveFansにできることはあまり多くないかもしれません。一方で、新人やブレイク前のアーティストは、非常に効果を期待してくれています」

 LiveFansのライブ情報にはチケット購入サイトへのリンクも貼られている。「同時によく見られているアーティスト」などのレコメンド情報も添えることで“偶然の出会い”も提供している。公演間近まで売れ残っていたアーティストのチケットが、LiveFansにバナーを貼った直後に売り切れたこともあったという。

 音源販売も含めて、アフィリエイト収入を得ている。しかし、企業の売上高としては「微々たるもの」。現時点ではバナーの掲載も含めて、アーティストサイドの利用はすべて無料となっている。

「いずれは広告の有料化も想定していますが、今はまだLiveFansの周知に注力している段階です。アーティストサイドの方々には“ご参加いただくなら無料の今ですよ”とお声がけをしています(笑)」

 こうしたおおらかな運営ができるのも、ひとえに渡辺氏が大の音楽ファンであるからだろう。一方で、企業としてはビジネス面も無視できない。しかし「今後もユーザー本位のサービスを充実させたい」と、あくまで音楽ファンとしての姿勢はブレない。ファンが喜ぶこと、それがひいては業界を活性化させるという渡辺氏の考え方は、エンタメに関わる者が忘れてはいけない本質と言える。

(ORIGINAL CONFIDENCE 14年9月22日号掲載)


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