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(2014/07/21)

活躍目立つ 関西バンドシーン


4人組バンド、KANA-BOONは大阪・堺出身。2012年に開催された「キューン20イヤーズオーディション」で、4000組の応募者の中から優勝した

  昨年9月にKANA-BOON(大阪)、今年6月にキュウソネコカミ(兵庫)、7月にTHE ORAL CIGARETTES(奈良)がメジャーデビューと、活気を見せる関西出身バンド。その源には何があるのか。3バンドの特色を探ってみると、そこには、関西バンドシーンの現状が見えてくる。


■“売れる”ための徹底的したセルフ・プロデュース

 関西には、古くから独自の音楽シーンが根付いているが、それでもかつては、全国で名を馳せるには、「メジャーデビュー=東京での活躍」が絶対的条件であった。しかし昨今、インターネットの普及と共に、創作活動においても、作品発表においても、その必要性は薄まりつつある。加えて、今の若者の特徴と言われる“地元消費志向”はバンド活動のローカル化にも影響を与えていると考えられる。KANA-BOON(大阪)、キュウソネコカミ(兵庫)、THE ORALCIGARETTES(奈良)の3バンドともに、高校/大学の軽音楽部がバンド結成の原点となっている点も、学生数日本一を誇る京都を含んだ関西圏特有の土壌という点と無関係ではないだろう。

 その志向性は、ややもすると“内輪ウケバンド”で終わってしまう危険性もあるが、彼らがそうならなかった理由は、しっかりとしたセルフ・プロデュース力を有していた点が挙げられる。自分達をどう見せ、他バンドとどう差別化するか。そこへの意識はとても強い。つまり、「好きな音楽をやっていたら売れた」のではなく、「自分達を売ろう」という明確な意識を持っている。その一方で、いずれのバンドも、勝負の場を東京とはせず、まず地元で基盤を築くことに注力した点は、新しい流れと言えるかもしれない。

 地元を重視し、メジャー(=東京)に行っても変わらないことをファンに伝えようとする“現代若者像”と、上昇志向(あるいはライバル心)が強い“関西人気質”の2つを併せ持っている点が、現代関西バンドの特長と言えそうだ。


■勝ち負けにこだわる関西気質ライブシーンで個性を発揮

 地元で支持を集めるには、ライブの出来が最も重要となるのは間違いない。KANA-BOONは12年、ホームのライブハウスを中心に5ヶ月連続の自主企画、キュウソネコカミは「試練の2MANシリーズ京阪神Ver.(13年/KANA-BOONとも共演)」で地元を中心としたツアーを成功させ、THE ORAL CIGARETTESも自主企画「唇フェス(13、14年)」といった対バン形式イベントで互いにしのぎを削った。キュウソネコカミは、本誌の取材で「前のバンドが受けていたら、あえてそのバンドの真逆のアプローチで、攻める」と、その日のライブでの観客の盛り上がりに徹底的にこだわる姿勢を語っている。その結果、いずれのバンドもライブで高い評価を得るようになったのだ。さらに、地元での活動が生む日常性は、作品に“人間臭さ”を生み、それがリスナーと同目線からのメッセージとして共感を呼ぶポイントにもなっている。

 一方で、FMラジオやテレビ、老舗ライブハウス、地元フェスの役割も見逃せない。これらの情報発信源は、首都圏ほどマーケットが大きくないが故に、商業面を超えて、ディレクターやキュレーターの個人的な強いこだわりが発揮されるため、プッシュする側のエネルギーも強く、結果、リスナーに大きな影響を与えている。実際に、関西イベンターGREENS主催の「RUSH BALL」、FM802が主催するフェス「MINAMI WHEEL」や「RADIO CRAZY」では、メジャー・バンドだけでなく、地元の有力バンドがピックアップされ、ステップ・アップへの登竜門的な存在ともなっている。

 彼らの他にもtofubeats(兵庫)、tricot(京都・滋賀)、The fin.(兵庫)など、地元・関西を拠点として活動を続ける個性派アーティストが続々と誕生している。自己主張の強さ、“ボケ・ツッコミ”に代表されるような観客とのコミュニケーション力の高さ、さらには、自虐的な歌詞でもネガティブにならない笑いのセンスなどといった関西人特有の気質とライブ重視の姿勢、創作活動のローカル化、そして適度なマーケット規模。地に足の着いたユニークなバンドを育てるために、現在の関西音楽シーンは、最適な環境と言えるのかもしれない。

(ORIGINAL CONFIDENCE 14年7月21日号掲載)


KANA-BOON(大阪)、キュウソネコカミ(兵庫)、THE ORAL CIGARETTES(奈良)の売上動向(表)

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