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(2013/12/9)

女性ソロ歌手、ブレイクに必要な5つのカギ


13年大晦日に放送される『第64回NHK紅白歌合戦』への初出場が決定したmiwa。女性ソロシーンの盛り上がりが期待される

 昨年は家入レオがブレイクし、今年はmiwaが『第64回NHK紅白歌合戦』への初出場を果たすなど、女性ソロシーンが徐々に盛り上がり始めている。ここ数年、このシーンでは、声優アーティストの活躍が目立ったが、ここにきてシンガー・ソングライターも存在感を強めている。そこで14年以降さらに厚みを増していきそうな女性ソロアーティストのネクストブレイクの決め手を探る。


■アイドル全盛の今だからこそ、強いメッセージが求められる

 2013年は女性ソロアーティストのデビューが目立った年だった。過去5年の新人のデビュー数は総数こそ減ったものの、女性ソロが占める割合は33.9%と高い。

 なかでも目立つのは、片平里菜、kaho、南壽あさ子、新山詩織、山崎あおいなど、若手女性シンガー・ソングライターの数の多さだ。miwa、家入レオを筆頭に、本格的なブレイクを果たすアーティストも登場するなど、徐々に厚みを増しており、このシーンは来年以降も、大きな注目を集めることになりそうだ。

 そこで、日ごろアーティストインタビューやレビュー等で活躍する音楽ライターへの聞き取り調査を実施。女性ソロアーティスト・シーンの現状や、ネクストブレイクの決め手などを探ってみたいと思う。ただし、洋楽及び韓国アーティストや演歌歌謡系、クラシック系、グループからのソロデビューなどは除く。

 周知の通り、ここ数年の音楽シーンは、AKB48、ももいろクローバーZに代表されるグループ・アイドルが全盛となっているが、そのなかにあって、ここ数年で女性ソロアーティストのデビューが増加している印象を持つ音楽ライターは多く、「女性ソロアーティストの存在感が増しているということは、アイドルやK-POPにハマれないティーンの心の拠り所になるような、新世代の代弁者の登場を待っている人が多いことを表している」(永堀アツオ氏)といった意見や、「女性アイドルグループ隆盛期に、最も対比的なインパクトを与え得るのは女性シンガー・ソングライター」(大前多恵氏)という意見も見られた。

 これを象徴するのが、強いメッセージ性を備えた楽曲とともに登場した家入レオのブレイクだろう。彼女が所属するビクターエンタテインメント Colourful Recordsの担当者は、「家入の歌には“今どき、こういう発信をする人がいるんだ?”というインパクトがあった」と振り返る。

「少し斜に構えているというか、暗い部分もあるんですよね。でも、それが作り込んだものではなく、本人の心の底から出ていたものだからこそ10代〜20代を中心に、リスナーに刺さったのだと思います」


■女性ソロアーティストブレイクの5つのカギ

 ライターへのアンケートや取材で印象的だった言葉として「同世代の共感」、「私と似ているというシンパシー」、「ライブ」、「セルフプロデュース能力」、「素の自分」などが挙げられる。

@「歌詞:共感/シンパシー」

 これは、女性ソロアーティストにとって普遍的に求められるテーマとも言える。思春期の悩み、葛藤をテーマにした楽曲で支持を集めつつある片平里菜、10代特有のピュアな感性を反映させたソングライティングで注目されている新山詩織もまた、リスナーからの共感を集める力を持ったシンガー・ソングライターと言えるだろう。軸となるのは、不安や悩みを代弁することで、“自分だけじゃないんだ”という思いをリスナーに与える楽曲。女性シンガー・ソングライターがブレイクを果たすための最大の条件はやはり、「同世代の共感」であることは間違いないだろう。

A「ライブ」

 女性シンガー・ソングライターのプロモーションの柱になるのはやはり、楽曲自体をしっかりと浸透させること。デビュー当初のコアファン層は“女性の弾き語り”を好んで聴きに来る30代〜50代男性が中心になることが多い。そこから、いかにファン層を広げるかが重要となる。その近道とは、やはりダイレクトにアーティストの個性や曲の魅力を伝えられるライブだろう。インストアライブ、フリーライブ、ライブハウス・ツアー、フェス出演などを地道に積み重ねることで、ファンを獲得すること。会場によって集まるファン層も異なるため、アーティストのキャラクター、音楽性に適した場所選びも重要になる。「やはり曲で勝負するしかない。FM局のパワープレイやUSENも確かに効果はあるが、“新たな場所”でどうやって目立っていくのか、アーティストの個性や曲の強さを伝えることができる演奏場所、露出先は常に探しています」(ソニー・ミュージックアーティスツ担当者)

 アーティストに合ったイメージ戦略、目に止まりやすい「スタイル作り」も大きなポイントだ。海外のインディー系バンド“CSS”の楽曲をカバー、個性的な自主企画イベント(第2回目には後藤まりこ、小南泰葉などの個性派アーティストが出演)を行っているbomiなど、他との差別化を図るアーティストも目立ってきている。

B「セルフプロデュース能力」

 差別化を図っていくうえでも、求められるのが、「セルフプロデュース能力」だ。「昨今では音楽性だけでなく、アートワーク、ミュージックビデオ、コラボレーションなどを含め、自分をプロデュース/コーディネイトできるセンスを持った女性アーティストが求められる」(森朋之氏)という意見も聞かれた。原宿ファッションをキーワードにしたきゃりーぱみゅぱみゅの成功からも明らかなように、アーティスト自身のセンス、志向を軸にした「自己発信力」がさらに問われることになる。

C「個性:素の自分を伝える」

 また、テレビのバラエティ番組への出演によって知名度を上げる例は過去にも見られた。直近では「シェアハウス」で暮らす男女6人の生活を追った“リアリティショー”『テラスハウス』(CX系)にレギュラー出演し、アーティストとしての葛藤とともに、「素の自分」を見せることで幅広い層にアピールした住岡梨奈は、その好例と言えるだろう。miwaがラジオ番組(『miwaのオールナイトニッポン』/13年3月放送終了)を通してファンとの交流を深めたように、アーティスト自身のキャラクターを伝えることは、親近感を高める意味でもきわめて重要。リアルタイムで生の声を発信できるTwitter、FacebookなどのSNSの活用も必要不可欠だろう。

D「地域性」

 また、本特集の取材を通じて、レーベル側、音楽ライター側の双方から繰り返し聞かれたキーワードに「地方」がある。例えば宮崎県在住のGILLEは、方言とともに、その人懐っこい性格などもバラエティ番組を通じて浸透し始めており、「本格派ボーカリストとしての凄みや魅力と共に、ステージ上とのギャップが面白い」といった意見も見られた。一方で、「住岡梨奈は北海道出身ですが、地元にいた頃に育まれた感性や、今、住岡から出てくる同時代性をどうやって歌っていくのか常に意識しています」(担当者)という制作サイドの考えもある。さらに福島県在住の片平里菜に対しては「できれば都会に染まってほしくない」という意見も見られている。


■アイドル・シーンとのクロスオーバー化も進む

 本稿の冒頭では、アイドル・シーンに対するいわば「カウンター」としての位置づけで「女性ソロアーティスト」を解説したが、こと地方からの発信という点を見れば、地方アイドルの近年の動向にも近いと言える。加えて、今回の聞き取り調査では「活発なアイドル・シーンとの垣根がだんだん低くなってきている」(青木優氏)という指摘もあった。例えば、アイドル的なルックスを活かし、ファッション誌への露出も増えているハナエや、バラエティ番組『sakusaku』(tvk)の5代目MCとして注目を集め、歌手としてデビューを果たしたトミタ栞、「KING RECORDS Presents Dream Vocal Audition」で「ヤングマガジン賞」を受賞した現役女子高生シンガーの上野優華、SKE48を卒業し、声優としても活動している松下唯なども登場している。

(ORIGINAL CONFIDENCE 13年12月9日号掲載)



直近5年の新人デビュー数と、女性ソロの割合。及び13年にデビューした新人女性ソロのジャンルごとの人数の割合
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