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(2013/09/23)

オーディションで自分探しする若年層


スターダストプロモーションに所属するももいろクローバーZ

 近年、アイドルオーディションが増加している。理由のひとつは、AKB48をはじめとするアイドルグループの活躍によるシーンの活況。また、様々な要因から芸能界が身近に感じられるようになり、応募しやすくなったということもあるだろう。そこで、オーディションの現状を探るべくプロダクションの新人開発担当者やオーディション担当者に話を聞いてみると、意外な今の若者像が見えてきた。芸能界を目指す若年層の心理にスポットを当てレポートする。


■応募者増の背景にある芸能界への門戸の広がり

 AKB48やモーニング娘。、ももいろクローバーZらの活躍が目立つこともあり、アイドルを目指す若者が増えている。昨年1年間に、オーディション専門誌『月刊デ☆ビュー』に掲載された全オーディションのべ1681件のうち、アイドルオーディションは165件であり、近年、増加傾向にある。オーディションを主催する、ももいろクローバーZの所属するスターダストプロモーションの新人開発担当者も「この2年くらいで応募が増えた」と注目度の高まりを肌で感じているという。

 アイドルを目指す層は、「歌って踊って演技もできてバラエティにも出られる」というマルチな活動に憧れている人が多いことから、これらアイドルオーディションでは、ジャンルや求めるキャラクターを限定せず、応募者に対して間口を広くしているのが特徴である。一方で、応募曲をアニメソングに限定した「全日本アニソングランプリ」など、特定のジャンル、特定のテーマに特化したオーディションも増えている。しかも、テーマをひとつに絞ると、応募者数が少なくなるように思えるが、「全日本アニソングランプリ」は、応募者数が1 万人を超過。アイドルに限らず、バラエティに富んだオーディションが揃い、応募者も増えているというのが近年の傾向といえるだろう。

 では、応募者が増えた背景には何があるのだろう。各社の新人開発・オーディション担当者に聞いてみると、「基本的には、なんとなく有名になりたいとかテレビに出たいというのが本音」であり、そういった志望動機を持つ層のボリュームは昔から変わらないそうだ。ただ、その“淡い夢”を、実際にオーディションを受けるという行動に移すにはハードルがあるわけだが、応募者増の背景には芸能界の敷居が低くなっていることが影響しているようだ。

 たとえば、ひと昔前、モデルは、高身長が必須であることなど、ルックス面で求められる条件が厳しかったため、比較的、敷居の高いジャンルだった。しかし、雑誌の読者がモデルとなって誌面に登場する“読モ”がブームになり、モデルの存在を一気に身近なものにした。 “読モ”からは、益若つばさや小森純、きゃりーぱみゅぱみゅなど、多くの人気タレント・アーティストも誕生。芸能界で活躍する道筋も描けるようになったのだ。

 アイドルの世界では、「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、成長の過程をファンに見せ、ともに成長していくアイドルとして人気となったAKB48の影響が、なんといっても大きい。昭和のアイドルブームとは異なる“親近感”を持たせた戦略が大きなきっかけとなった。

 さらに、東大出身の菊川怜や八田亜矢子など、高学歴を武器にしたタレントの活躍なども見られるようになり、芸能界におけるジャンルが多彩に拡大していることも応募者数を増やす要因のひとつといえるのではないか。


■身近な存在になった芸能界は大学生にとって就職先のひとつ(?)

 応募者の増加の一因は、応募年齢の広がりにも表れており、近年は小学生と大学生の応募が増えているという。小学生は、「○○みたいになりたい」という明確な意志を持っている子と、母親や兄弟、親戚、近所の人などに勧められ応募してくるケースの2つに大別される。親主導の場合は、テレビや雑誌に出られて記念になればという意識のほか、習い事の一環として芸能活動を考え、子供の可能性をいろいろな方面で探っている人も多いという。

 大学生に関しては、「就職活動の一環として受ける人が多い」との話が印象的だった。大学生になって就活を控えたとき、昔描いていた夢をどうしても諦めきれずに、これが最後と思って挑戦したというケースが多いようだが、その裏には、就活から逃れたいという意識もあるという。

『月刊デ☆ビュー』の調査によると、オーディション応募者の志望動機に「(自分を)変える」「(感動を)与える」「(夢を)叶える」というキーワードが頻出する。「自分を変える」というモチベーションは、17 歳と19 歳で盛り上がる。現実問題として、社会に出てからの自分の人生を真剣に考えたとき、芸能界も選択肢のひとつとする人が増えているということだろう。

 これには、先の高学歴タレントをはじめ、松下奈緒や向井理など、大学在学中、あるいは大学卒業後にデビューし、遅咲きながらスターの地位を確立した人たちの活躍も影響しているといえる。“読モ”出身のタレント、頑張っている姿を見せてくれるアイドル、高学歴を武器にしたタレント、大学卒業後に芸能界入りしてスターになった俳優など、“カッコいいアイコン”が増えたことが、明確な目標を抱くきっかけにつながり、芸能界を目指す若者の意識に大きく影響しているといえるだろう。

 ところで、応募者の年齢層でいうと、高校生が減っているというのも近年の特徴だ。プロダクションの新人開発担当者から、「部活動をしている子の場合、やめるとまわりに迷惑をかけてしまうという理由で芸能活動を断られることがある」と聞くが、中高校世代は多くが学校や部活動で忙しく、芸能界に憧れる気持ちはあっても、日々の生活に追われてきっかけがつかめずにいる子が多いようだ。また、友達関係=横のネットワークの維持に必死で、「出し抜く」「見返す」という意識の低さも、現代の高校生の特徴として挙げられる。そんな彼らが高校を卒業し、周囲の束縛から自由になることで自分の人生を考えられるようになり、その中から芸能界を目指す人も出てくるのではないだろうか。

 減少傾向にある高校生世代も含め、ジャンルが広がり、応募年齢も広がった今、より多くの人と出会うために、書類審査なしで応募者全員に会うものや、写メールを送るだけのWeb応募など、気軽に参加できることに留意しているオーディションが増えている。新卒社員の採用試験にも、エントリーシートを使わず、学校名不問、服装自由でエントリームービーを受け付けるような、型にはまらない採用が増えているように、個性やその人らしさを大切にする企業が増えつつある。「キャラクターで勝負」がより強く求められる芸能界では、個性を見極めるために今後、ますます様々な趣向の募集が行われていくことだろう。

 芸能界を目指す若者の意識に訴える活発な新人開発で、新たな才能が幅広いジャンルで発掘され、芸能界が活性化していくことに期待したい。
(ORIGINAL CONFIDENCE 13年9月23日号掲載)


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