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(2013/08/19)

アレンジこそ命、吹奏楽特有の音楽文化


「ブラバン!甲子園」シリーズの中から配信ダウンロード人気曲ばかりを集めたスーパーベスト『ブラバン!甲子園・電子盤 灼熱の濃縮編!』(7月31日配信スタート)


ボカロ曲やアニメの主題歌、卒業シーズンには欠かせない曲等を収録した『ニュー・サウンズ・イン・ブラス2013』(TOCF-56095)

 一説には、OBも含めた国内の吹奏楽人口は1000万人を超えると言われている。ここに取り上げた2つの吹奏楽コンピレーションは、発売すれば常に一定数を売り上げる人気シリーズだ。そこにピックアップされている楽曲はJ-POPからアニメ、ボカロ曲まで幅広い。


■24人に1人は経験者、世界有数の吹奏楽大国

 現役の吹奏楽人口だけでも100万人、OB/OGを含めると24人に1人は吹奏楽経験者と言われるほど、日本は世界有数の吹奏楽大国だ。2011年時点で、全日本吹奏楽連盟に加盟している中学校7195団体、高校3792団体(※)と、高校野球(13年で高野連加盟校数は4048)に迫るほどの人気の部活となっている。その吹奏楽コンピレーションとして根強い人気を誇っているのが、吹奏楽関連CDの中でもっとも古い41年の歴史を持つ『ニュー・サウンズ・イン・ブラス(以下、NSB)』と、07年の第1弾発売時にはTOP10内にランクインする異例の好セールスを記録した『ブラバン!甲子園』の2シリーズだ。

「NSB第1集を発売した72年当時の吹奏楽は、クラシック音楽やマーチの演奏がほとんどで、そこに洋楽のカッコよさを持ち込もうと、岩井直溥先生(作編曲家/指揮者)によって同シリーズは始まりました。ですから、初期は洋楽ばかりを取り上げていましたが、90年代あたりから、ユーミン(松任谷由実)、竹内まりや、サザンオールスターズなどを取り入れはじめ、今では“ジャパニーズ・グラフィティ”として、J-POPやアニメソングのメドレー曲を必ず収録するほど、J-POPは定着しています。特に単曲ダウンロード販売に関しては、J-POPの売上が突出しています」(ユニバーサルミュージック USM邦楽本部 USMジャパン 邦楽カタログ2部・舘野真由美氏)。

 一方『ブラバン!甲子園』は、タイトル通りに、高校野球の応援をそのままCD化するという斬新な着眼点と、楽しさを重視した選曲がポイントだ。

「野球の応援ですから、流行りやノリを重視しています。当初はプロによる演奏を収録していましたが、最近は、現役高校生の元気のよさや勢いを取り入れようと、高校トップ・クラスの“イチカシ吹奏楽部”こと、市立柏高校に演奏してもらっています」(同 邦楽カタログ1部・橋本佳美氏)。

 一見すると、方向性が大きく異なる2つの吹奏楽コンピレーションの共通点は、往年のヒット曲が、吹奏楽の世界で若年層に脈々と受け継がれていることだ。「昨年発売したNSB第40集の“美空ひばりメドレー”がとても好評でした。中高吹奏楽部の演奏会には、保護者や地域のみなさんが聴きに来られるので、演奏する若い世代の楽しさだけでなく、聴き手が楽しめる楽曲もとても大事なのです」(舘野氏)。

「応援に使う曲は、やはりヒット曲でないと難しいですね。ある程度の人が知っている曲でないと、盛り上がれませんから」(橋本氏)。

 しかし、ヒット曲であれば何でもいいかと言うと、そうではない。吹奏楽曲として成立するには、アレンジが大きなウェイトを占めている。例えば、「宝島(THE SQUARE/86年)」は、吹奏楽版ではサンバ調にアレンジされており、吹奏楽界では、このアレンジこそが「宝島」と言うほどの大定番曲となっている。また、「北の国から(作曲さだまさし/82年)」は、原曲の叙情的な雰囲気とはまったく異なるアップテンポの曲となり、北海道日本ハムファイターズや甲子園・北海道代表校の応援で使われている。いずれの場合も、原曲を忠実に吹奏楽で再現するのではなく、どれだけ吹奏楽らしいテイストでアレンジできるかということが重要だ。これこそが、吹奏楽特有の音楽文化であり、こうして形を変えながら、楽曲に新たな命が吹き込まれ、メロディーが受け継がれている。その結果として、両コンピレーションCDが長きに亘りコンスタントに売れ続けているという事実は、見逃せない事例だろう。

 少子化による編成の縮小や、最新曲に対応できるアレンジャーの育成など、吹奏楽界の課題は少なくない。しかし、地元に根付いた中高吹奏楽部は、テレビやCDでしか見聴きできない一流ミュージシャン以上に、ある意味で身近に生演奏の魅力を体感させてくれる、地域音楽文化を支える貴重な存在だ。そこでのJ-POPの取り上げられ方をひとつのマーケットとして見つめ直す価値は、十分にあるのではないだろうか。
※全日本吹奏楽連盟会報『すいそうがく』No190より
(ORIGINAL CONFIDENCE 13年8月19日号掲載)


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