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(2013/07/15)

『冬ソナ』から10年、韓ドラのトレンド


韓流ビジネスに関わる企業が「韓流10周年実行委員会」を発足、「韓流10周年」サイトを新設した


12年に韓国で大きな話題を呼んだ社会派サスペンス『追跡者【チェイサー】』

 日本と韓国で共同開催されたW杯の翌年に吹き荒れた『冬ソナ』ブームから10年。韓国ドラマは国内に幅広く認知されたが、数々の課題も見えてきた。

 12年の韓国関連の映像市場の総売額は82.8億円(前年比72.7%)、売上枚数は68.3万枚(前年比74.6%)となり、時代劇ドラマ人気がひと息ついた08年の実績(97.5億円)をも下回る結果になった。

 その理由として、(1)視聴環境の変化、(2)権利金の高騰、(3)メディアの露出減、(4)ヒット作不足、などが挙げられる。『冬のソナタ』が大ヒットした03〜04年当時と比べて、今は地上波、BS、CS、VOD、レンタル、セル等々、韓国ドラマを見ることができる視聴環境は大きく広がった。また、視聴できる作品数も大幅に増え、韓国ドラマファン層も格段に膨らんでいる。そういう意味で、この10年で、国内に韓国ドラマ市場は確実に根づいたと言っていいだろう。

 その国内市場が今抱えている問題は「供給過多でありマネタイズできていないこと」なのだという。長く韓国ドラマを国内に配給してきたエスピーオー執行役員の森丘直子氏は、「権利金は高騰する一方です。また、国内の韓国ドラマテレビ枠は限られており、それを巡って各社がセールスをかけている状況なので、テレビセールスは苦戦しています。また、パッケージも勝ち負けがはっきりしてきており、購入してもなかなかリクープできないため、作品が日本に入りづらくなっています」とこう着した状況を語る。

 かつてはパッケージ売上で、短期のリクープが可能だったが、視聴環境の変化に伴い、オールライツで作品を購入し、パッケージ売上や番組販売等で数年かけてリクープしていくというスタイルに変化した、と言うのはポニーキャニオン取締役の大柳英樹氏。

「レンタルやセルの売上の良し悪しは地上波で放映されるかどうかに左右されます。地上波での放映枠が減り、パッケージの売上が落ち込んでいる今、番組販売の売上シェアが上がってきているのは確かですが、いくら権利金が上がったからと言って、ファーストランのCSに対する契約料を上げるのにも限界があります」と悪循環に陥っている現状を語る。

 ここ2〜3年、韓国ドラマが大きく盛り上がった理由は、『花より男子〜Boys Over Flowers』や『美男<イケメン>ですね』等に代表される「ラブコメディ」人気に負うところが大きい。同ジャンルのヒットが、従来の韓国ドラマファン層とは異なる10代、20代の若い女性層にも幅広くリーチしたからである。これによって国内の需要が一気に高まり、それと比例するかたちで1話あたりの権利金も急激に高騰していった。中には20万ドルという高値をつける作品もあるという。

「韓国ドラマの脚本家の位置づけは高く、いい脚本にはいいキャストが集まるため、自然にギャラが上がり、制作費も上がり、それが権利金にはね返っていきます」とエスピーオー・森丘氏。日本における人気キャストの出演作は当然のことながら権利金が上がるが、それが他の作品にも大きく影響して全体的な高騰につながっている。韓国ドラマの番販先である日本市場の比率は高いが、権利金は一向に下がる気配が見えないのだという。


■ラブコメから社会派へ韓ドラのトレンドも変化

 そういった環境のなか、各社とも手をこまねいているわけではない。

「今後は話題作だけでなく、有名俳優がキャスティングされていない作品であっても、内容の面白さにこだわっていきたい。そうやって、当社の紹介する作品は“面白い”というイメージを確立させていきたい」と意欲を見せるのはポニーキャニオンの大柳氏。一時期、ラブコメの多かった韓国のミニシリーズドラマだが、最近では社会派サスペンスものや職業ものも増えており、トレンドの変化を感じるという。

 今春、日本のドラマ『ハケンの品格』が韓国でドラマ化されたり、韓国ドラマに新風を吹き込んだと言われる『応答せよ1997』(販売元:エスピーオー)のヒットもそういった韓国ドラマのトレンドの変化の表れと言える。

 今後、同社では脚本・演出・キャストの3拍子が揃った“面白い”作品を紹介し、新たなトレンドを創出していきたいという。


■アワード開催で新たな魅力を再発見

『冬のソナタ』初放送から10周年を迎えた今年、韓流ビジネスに関わる企業35社(13年7/1現在)が「韓流10周年実行委員会」を発足し、公式ホームページをオープン。韓国ドラマファンによる人気作や男優、女優を選んで投票する、ファン参加型のアワードを開催中だ。

「今までになかった初の試みです。冷え込んだ市場の空気感を変えたいという思いも含め、各社に声をかけ賛同をいただきました」とポニーキャニオンの大柳氏。

 対象作品は1200タイトルに上る。アワードによって今まで日本で放送、ビデオ化されたドラマを振り返ることで、韓国ドラマ市場を活性化させようというのが狙いだ。「『冬ソナ』でファンになったドラマファン第1世代が遠ざかっている傾向にあり、一方で新しいファンは過去の作品を見ていません。カタログが増えた今、アワードのランキングが韓国ドラマを選ぶ上での指針になれば新たな魅力の再発見につながるはず」と大柳氏は期待する。

 供給過多になっていると言われる韓国ドラマだが、その一方で、日本の作品が海外に番販されるケースは少ない。そんななか、その突破口になるのではないかと期待されているのが、エスピーオーが手がけるドラマ『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』だ。日本をはじめ台湾、韓国でもドラマ化された同作だが、今年、17年ぶりに日本でもドラマ化されるとあって、中国では正規配信前にもかかわらず、新聞や現地メディアで取り上げられ話題を呼んだ。

 主演2人の人気に、中国の大手動画配信会社がVOD権を獲得し、日本での放送と同日に動画配信を開始。アニメでは多い番組の海外向け同日配信だが、日本の実写ドラマが中国で、というのは初だ。こういった動きは、今のこう着した状況に一石を投じるものになるかもしれないだけに、要注目である。
(ORIGINAL CONFIDENCE 13年7月15日号掲載)


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