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(2013/06/17)

さだまさし40周年、ソロ4000公演も達成


デビュー40周年を迎え、ソロ4000公演も達成したさだまさし

ベスト盤『天晴〜オール・タイム・ベスト〜』のイラストは中村祐介氏の描き下ろし。ファンの投票により選曲された(6月26日発売)

 グループでのデビューから今年10月で40周年を迎えるさだまさし氏。7月17日の日本武道館公演(18日との2デイズ公演)で前人未到のソロ4000公演を達成し、それに先立つ6月26日には、ファン投票に基づいて選曲されたオール・タイム・ベストも発売。40年、4000公演という数字を、さだ氏はどのように捉えているのだろうか。


■「出来」だけで評価されるのではない「音楽」

――まずは、ソロコンサートを4000回続けてこられたことの感想からお聞かせください。
さだ
 やっぱり、お客さんに対する感動・感謝につきます。よく来続けてくださったな、と。大道具などで過度にショーアップをするようなこともなく、長いことやってこられたわけですから。もちろんトークは大きな要素だと思いますが、他と差別化できてきたのだとすれば、一番の要因は、コンサートのつくりそのものにあったんだと思います。

――音楽だけを聴かせてきたのではないということですか。
さだ
 いや。音楽を聴かせるのだけれど、音だけでいいとか、画を見せて驚かせる、感動させるとか、そういうものではなかった。もっと別のところに働きかけるため、音楽を置きに行く場所が違うという感じです。

――4000回という回数に対しての感慨はどうでしょうか。
さだ
 実は、数えていない回も結構あるんです。ディナーショーを2回やっているのに、1回としか数えていなかったり。名古屋では20年間2回ずつやっているけれど、これも1回としか数えていない。だから、それら全部を入れていけば50回や100回はすぐに増える(笑)。1時間以上のライブで、有料でという前提でカウントしていっても、今回の数に含まれていないものは他にも結構あるんです。ただ、ショーとしてのコンサート、ホールでのコンサートというのを基本とするなら、妥当な数え方かなという感覚ですね。

――それにしても、4000という数字はすごい数です。
さだ
 確かに、考えにくい数字ですよね。あり得ない数字かもしれない。ただ、そのために、声が壊れ、ひどい声で歌っていた時期もありますよ。

――年間160本くらいの頃ですね。
さだ
 それでも、お客さんは僕を見捨てなかった。

――それは単に音楽を聴かせるだけではなく、トークも含めていろいろな感動を与えてきたからでしょう。
さだ
 置くものが違いますからね。楽曲というのはあくまで自己表現の中の「聴こえるもの」。でも本当に一番大事なものは「聴こえない部分」なんですよ。それを上手に説明できない人は多いし、それを感動の種にして、火を点けていける技術を持った人が日本にはあまりにも少ない。もったいないことだと思います。今や、音楽家は音楽だけやっていればいいという時代ではなく、音楽家はいなくなって、音楽業者で埋め尽くされているのかもしれない。その中で自分の音楽のクオリティーをどのように守っていくかというと、ものすごく難しいですよね。ポピュラリティーを失っていくと、説得力も失っていくじゃないですか。そうすると、あれほど感動したはずなのに、その歌がくすんでくる。

――さださんの場合は、曲の輝きを失わせないためにも、トークで違う脳に働きかけ、輝きを維持しているという感じなのでしょうか。
さだ
 それもありますが、懐かしのメロディーにならないために大事なのは「忘れさせないこと」です。ずっと耳元で言うしかない(笑)。例えば、僕のコンサートで「精霊流し」や「秋桜」を聴いて「懐かしい」と言う人は、いないんですよ。「北の国から」だって、ドラマ放映が終わって30年以上経つのに、「ああ、懐かしい」とは言われない。評価というのは出来だけじゃないですから。出来だけで言ったら、音楽的に「これ、スタンダードになるほど優れているかな」という曲なのに、何回聴いてもいいなというものはいくらでもある。昔の歌謡曲とか。それと同じで、出来だけじゃない、何か別のものなんですよ、音楽の感動って。もう、さだまさしは自分ではない

――コンサートに来た回数をファンの方に聞いたことはありますか。
さだ
 いや、ないです。畏れ多くて聞けないですね。いったい僕のためにいくら使っているのだろうと考えると(笑)。ある男性ファンがいて、彼は年間数十回は来ています。ある時彼に「大丈夫なのか、俺のコンサートにこんなに来て」と聞いたら、「大丈夫ですよ。普段、さださんのコンサート以外はずっと働いていますから」って答えるわけ。「じゃあ、働いた分全部さだまさしに使っているのか」と聞くと、「まあ、それほどでもないんですけど、いいんですよ。好きで来ているんだから」と。その後、彼が最前列に座っていたことがあって、何の曲だったか覚えていないのですが、歌い出したら号泣するんですよ。それを見たら、僕も涙が出そうになる。「あ、本当にさだまさしが好きなんだ」と思った時に、「さだまさしって何だろうな」と思いましたね、自分で。

――その時は、自分であって自分ではないわけですね。
さだ
 自分ではないですね。もう、さだまさしは自分ではないですよ。申し訳ないけれど、自分のためだったら、こんなスケジュールはこなせないです。僕はみんなのさだまさしのためだから、こんなに無理ができる。本当は、さだまさしをやめようかと思ったこともありました。でも、年に数十回来る彼が最前列で泣いているのを見ると、「俺の何かに反応してくれているな」と感じて、「はい、ここで終わり、なんて言えないな」って思うんですね。しょっちゅう来てくれる人を見かけると、さすがに「この人どうやって生活しているんだろう」とか、不安になりますよね。それぞれの家計の状況まではわからないのでどうしようもないけれど、間違いなく言えることは、必死に働いて、お金のないなかで、さだまさしのコンサートに行くために頑張っている人がいる。これは絶対確かなこと。だから、僕はその人たちに働きかけることを絶対怠らない。今度のベストは常連さんからのおススメみたいなもの

――過去のコンサート中、自分が覚えているなかで、驚くようなところでやったような経験はありますか。
さだ
 山口県の小野田市民会館でやった時、立見が殺到して、入れてあげたいんだけれど、もうこれ以上は無理という状況になって、ステージの上にお客さんを上げたことがあります(笑)。それとやっぱり、去年の4月10日の60歳のバースデーコンサート(※)はちょっと異常でしたね。

――あのコラボレーションの嵐は、さださんでないと対処不可能ですね。
さだ
 あれはすごかったな。もう1回やるかと言われたら、やわらか〜に、遠回しに断ります(笑)。

――あれはきくちプロデューサーに構成を任せていたんですよね。
さだ
 そう、きくちプロデューサーがやりましょうと言うから、「えーっ?」となりながらも、やってみたら面白かった。

――すごく楽しかったですよ。ただ、段取りは全部覚えられないでしょう。
さだ
 段取りはないです。進行リハも一切やっていないんですよ。だから、ダラダラあんなにかかっちゃった。だって、20分で3組終わる予定が、3組目が終わった段階でもう55分でしたから。そういう意味で罪作りではあったけれど、面白かった。忘れられないコンサートでした。

――4000回目は特別なステージになるのでしょうか。
さだ
 これも実はきくちプロデューサーに預けたんです。でも、あんな無茶はもうしない、と思う(笑)。バンドはもう決まっているのですが、僕が何をやるか、僕の楽曲でどうやるのか。2日間基本的に同じことをやりますというふうに、ファンのみなさんにはお伝えしているけれども、きくちプロデューサーは同じ段取りでも違うことができると思っているから、その彼が思っている「同じことでも違うこと」というのを今度聞くんですよ。それで勝負しなきゃいけない。さだまさしでどう遊んでくるんだろうな。楽しみではあるし、不安でもありますね。

――6月26日発売の『天晴』は現在発売されているものの中では4作目のベストということになりますが、今までと一番違うのはどこですか。
さだ
 前の3作は、初心者にさだまさしの「入口」を教えるものでしたが、今度のはあえて楽曲投票による選曲にしているんです。たとえると、お店で注文する時に、お店のおススメじゃなくて、常連さんがススメてくれるメニューみたいなものかな。「ここに来たら、これ食べなきゃダメだよ」という。そういう意味では、上手くできているな、よく選んでいるなと思いますね。(『ORIGINAL CONFIDENCE』13年6月17日号掲載)


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