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(2013/05/27)

アジアに発信する音楽番組『ASIA VERSUS』


13年4月よりフジテレビでスタートした音楽番組『ASIA VERSUS』

 アジアに向けた新たな音楽番組『ASIA VERSUS』が13年4月19日よりスタートした。同番組の制作を手がけるのは、12年11月にフジ・メディア・ホールディングスと伊藤忠商事が50%ずつ出資して立ち上げた新会社「エフ・アイ・メディア企画」だ。アジアの複数のテレビ局と手を結び、各国で放送される番組を核に、その地域でビジネス展開する「アジア・メディア・ネットワーク構想」を掲げ、その第1ステップとして、「音楽出版事業」と「テレビ通販事業」の2分野で事業を行う。

 『ASIA VERSUS』はその「音楽出版事業」にあたり、「テレビ通販事業」にあたるショッピング番組『ASIA SHOPPING KING』も4月から放映が始まっている。これらの番組は、フジテレビをはじめ、業務提携を結ぶ4地域(台湾、韓国、タイ、インドネシア)の5つのメディアグループやテレビ局でも放送されている。

 「音楽出版事業に関しては、すでに80年代後半から、アメリカでは「フジ・エンタテインメントアメリカ」という会社で、日本国内では「フジパシフィック音楽出版」で行っています。『ASIA VERSUS』では、アジアの新しいアーティストだけでなく、作家・クリエイターも発掘したい。そして、楽曲の出版権を獲得してプロデュースしていきたい」。そう語るのは、エフ・アイ・メディア企画代表者の金光修氏。

 番組では、『YouTube』などの動画サイトからオリジナル曲を歌うバンドやシンガーをピックアップ。毎週予備審査を行って8組を選出。予め出演者や音楽の著作権処理を行ったうえで、さらに絞り込んだ2組がフジテレビのスタジオで演奏し、最終的に1組がウィークリーチャンピオンに決まる。そのアーティストの楽曲をプロデュースするという流れだ。

 「音楽はドメスティックなものなので、それぞれの国で人気が出て売れるような楽曲を集める」(金光氏)という事業モデルは、かつて氏がプロデュースした音楽番組『ASIA BAGUS!』の経験がベースにある。世界に通用するアジアのシンガーの発掘を目的に、92年から98年にかけて放映された同番組は、日本をはじめマレーシア、シンガポール、インドネシアでも放送され、海外の放送局ではベスト5に入る人気を集めた。グランド・チャンピオンには歌手デビューのチャンスが与えられた。今回の出演者の好きなアーティストに、同番組出身アーティストの名が挙がることも度々あり、番組がアジア諸国に浸透していたことを改めて実感したという。


■番組を通して浮き上がる各国の音楽事情

 約15年ぶりにアジアに向けた番組を制作するにあたり、当時との違いを感じることも多いと語る金光氏は、その一つに「各国の音楽レベルの向上」を挙げる。

 「以前の番組ではオーディション事務局を作り、応募者の中から選出された人をシンガポールに連れて行った。今回はオリジナル曲を歌うことが大前提にあるため、ある一定の基準に達した人を果たして集められるのかを危惧した。試しに『YouTube』などの動画サイトで調べてみたところ、想像以上にレベルの高いアーティストが見つかり、バリエーションも豊富であることに驚きました」

 Facebook、TwitterといったSNSで発信する人も多いため、それらを通じて出演を呼びかけたところ、8割以上からの返信があり、「これはいける」と確信したという。

 また、今回アジア各局を廻り、当時の仲間に会って気づいたこともある。経済力のついた各国のテレビ局は目覚ましい発展を遂げていた。

 「当時は、文化交流、技術交流の意味合いも多分にあったと思う。スタッフから何から、日本のやり方をシンガポールに持ち込んで制作したが、日本自体にステイタスがあったから、日本のテレビ局と一緒にやるのは面白そうだと一目置いてくれたし、収録技術を学びたいという姿勢が見てとれた。ところが、今やアジア諸国のテレビ局は急激な経済成長も背景にあり、交渉はそれなりにハードだった。もちろん、日本のテレビ局は演出能力、アイデア力、総合力で一日の長がある。それは各国のテレビ局も認めているので、耳を傾けてくれたのですが…」

 1980年代にはアジア各国でよく流れていた日本のテレビ番組だが、価格の高騰で、現地のテレビ局は質が良く安価で放送できる韓国の番組などを流すようになり、日本のコンテンツの露出機会は減っていった。それによって日本のコンテンツの影響力も低下。気がつけば各国の状況は大きな変化を遂げていた。金光氏は「そういった現実を素直に認めること」と前置きし、本番組が継続して放映されることによって、「各国の音楽事情も分かり、各国のテレビ局とのネットワークも深まっていく。新しい音楽関連事業を立ち上げるきっかけになれば」と期待する。

 番組の司会には、ロサンゼルス出身で、日本人の父と韓国人の母を持つ音楽プロデューサーのJeff Miyahara氏を起用。日本はもとより、台湾、韓国、インドネシアからも審査員を迎え、スタジオではさまざまな言語が飛び交う。各国の出演者たちのこだわりと熱量の高さは、画面からも伝わってくる。これがアジアの音楽シーンの現実なのだ。


アジアの複数のテレビ局と手を結ぶフジテレビ(各国の提携メディア一覧)
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