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OC TREND WATCH

(2013/03/11)

きゃりーぱみゅぱみゅワールドツアー “カワイイ”文化に魅せられる人々

 新曲「にんじゃりばんばん」を歌い始めると、大きな歓声が巻き起こった。数日前に初披露された同曲をファンはすでに知っており、日本語の歌詞で一緒に歌っている。きゃりーぱみゅぱみゅのヨーロッパ公演の最終日、イギリスのロンドン公演での出来事だ。ワールドツアーの序盤を飾るヨーロッパ公演は大盛況裡に幕を下ろした。(写真は下段に)

■そのままのスタイルで欧州を席巻
 約4ヶ月にわたるワールドツアー「100 % KPP WORLD TOUR」は2月9日、ベルギー・ブリュッセルのライブハウス「Vk* concerts」を皮切りにスタートした。翌10 日にはフランス・パリ「La Cigale」で、13日にはイギリス・ロンドン「O2Academy」で公演を行い、3ヶ国を駆け足でまわった。どの会場も、きゃりーと同じような原宿ファッションに身を包んだファンが多く見かけられたが、ロンドン公演ではそういった層とは別に、パンクスタイルの若者も来場し、同行スタッフ曰く「客層が前の2 会場とは若干違った」印象を受けたという。

 会場となった「O2 Academy」が、ブラーやフランツ・フェルディナンド、最近ではKISS も使用するライブハウスであったためなのか、あるいは、イギリスではベルギーやフランスのように日本アニメが放映されておらず、ファッションや音楽性に惹かれたファンが集まったためかもしれないが、他の2 会場で目にしたペンライトを振るファンがいなかったのは、その違いを物語っている。

 今か今かとその登場を心待ちにする観客の姿を見ていると、ここがロンドンであることを一瞬忘れてしまいそうになった。「きゃりー!きゃりー!」の声援が飛び交い、ファンの熱気が最高潮に達したとき、ライブの幕が切って落とされた。4 名のダンサーを引き連れ、「PONPONPON」のMV の衣装で登場したきゃりーの姿に、800 人のファンからはどよめきと共に「カワイイ!」の歓声が上がる。前2 公演での反響が大きかったことから、本人の希望で同曲を1 曲目に披露することが決まったのだという。近くにいたファンたちは、日本語の歌詞を一緒に熱唱している。

 MC には簡単な英語を交えるものの、基本は日本語で観客に語りかけ、それが通訳されるというものだった。ロンドンではビッグベンを観光したことや、ロンドンのファンに会えて嬉しいことなどを話すと、瞬時に反応が返ってくる。緊張のかけらも見せず、マイペースにステージを進め、いつの間にか観客をすっかりきゃりーワールドに引き込んでしまっている様子には舌を巻いた。

 中盤を越えたあたりで、新曲「にんじゃりばんばん」を披露。オリエンタルな音色と振付に場内は大いに湧いた。海外では、「PONPONPON」、「ファッションモンスター」、「CANDY CANDY」が人気曲だが、その反応の良さを見て、新たな人気曲が加わったことを確信した。約2 時間のステージで20 曲を熱唱。アンコールでは観客と一緒に記念撮影をし、「つけまつける」を大合唱してロンドン公演を終えた。終演後に本人にライブの印象を尋ねると、伸び伸びとパフォーマンスできたようで、「日本のファンと同じくらい熱狂的に盛り上がってくれて嬉しかった。中にはじっとステージを見ている男性もいましたよね」と、場内の様子を観察する余裕もあったようだ。

■人気の理由は日本ならではの独創性
 ロンドン公演は発売から数秒でチケットがソールドアウトしたという。きゃりーの認知は『YouTube』等にアップされたMV を通して広がっていったわけだが、ロンドンでの認知が飛躍的に広がったのは、昨年12月に発行されたイギリスのファッション&カルチャー誌『DAZED &CONFUSED』の表紙モデルに起用されたことが大きく作用したようだ。スタイリングは、レディー・ガガのスタイリストでもあるニコラ・フォルミケッティが手がけており、話題を集めた。

「現地アーティストや有名シアターとのタイアップ等がない限り、日本の音楽やエンタテインメントがメディアで取り上げられることはかなり難しく、異例のことだと思う。以前、ある新聞の第一面記事で、初音ミクが紹介されたことがあったが、「他のどこの国も作り出せない日本ならではの独創的な存在」であることが掲載された理由で、きゃりーの場合もまさにそう」と語るのは、イギリスで日本カルチャーのイベント『HYPER JAPAN』を運営するクロスメディア社の佐野友香氏。

イギリスでの日本カルチャー人気は年々高まっており、昨秋開催された同イベントは4万6000人を集客。そういった日本ファンの中で最も名前が浸透し、人気が高いのがきゃりーなのだという。今回のツアー中にフランスのテレビ局カナルプラスの番組に出演したのも、彼女が「日本ならではの独創的な存在」であることが認められたためと言えよう。

 これまで、海外展開というと、日本での地盤を固めてから、というアーティストが大半の中、きゃりーの場合はデビューからわずか1 年半でワールドツアーを行うという極めて珍しいケースとなった。それについて、所属プロダクションの中川悠介氏(アソビシステム代表取締役)は、「今、日本でいいと思われているものが世界でもいいと思われているわけだから、日本でやっているそのままの形でやってみる。それが今の速度に合っていると思うんです。万全を期して出ていくのではなく、きゃりーらしくやれればいいし、何よりも勢いのあるときにやりたいと思った」と説明し、今の情報伝達のスピードの速さを考えると決して時期尚早であるとは思わない、と語った。

「日本オリジナル」「スピード」そして「チャレンジ精神」、この3つがあれば、海外展開の障壁は低い、そう感じさせてくれたきゃりーぱみゅぱみゅのロンドン公演だった。





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